2015年に登場したダッジチャレンジャーヘルキャットは歴史的な名車である。それは車両として魅力的であるということだけでなく、その後における700hp超のマシンを次々と生み出すことが可能な素地を作り上げたということも含めて、である。
だからFCAにはチャレンジャーの他、チャージャー、グランドチェロキーに700hp超のマシンがあり、2021年にはデュランゴとラムトラックがそれらに続いた。いやはやFCA恐べし、といった感じである。
で、デュランゴヘルキャット。当然、6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンが搭載されているが、ただ単純にエンジンを載せ替えましただけで終わっていないのがデュランゴヘルキャット。
今回FCAはグラチェロの707hpに対して3hp、デュランゴのカタログスペックを上げている。グラチェロの707hpに対しデュランゴは710hpである。まあ、たった3hpであるから、その差はほとんどないに等しいが、あえてその差を設けたことに何かしらの意図があるようにも思えてしまう。
ちなみにグランドチェロキーは2列5人乗車のミディアムSUV、対してデュランゴは3列7人乗車のミディアムSUVだからその3hpはシートの差か。
さて、そのエンジンに組み合わされるミッションは8速ATだが、変速スピードを求め2018年に限定モデルで登場したチャレンジャーSRTデーモンと同機のミッションを搭載している。それでいて牽引能力は約4トンというから、走りだけではない万能SUVとも言えるのである。
ボディは、全域で空力を見直し、SRTに対してリアのダウンフォース量400%超を実現。
具体的には、フロントに新しいリップスポイラー、エンジンオイルクーラーダクト、エアガイド、シュノーケルが設けられ、リアには新型のリアスポイラーが装備され、フロントエンドからリアエンドにかけての空力バランスを改善し、それに伴う400%アップということである。
一方、ハンドリングにはモード変更可能な電動パワステが採用され、走行中のハンドリングパフォーマンスが改善される一方で、駐車時の旋回時の軽妙なフィールにもこだわり、操作性を上げている。
実際、撮影中にも感じたが、ハンドルの切れが非常によく、小回りが利くからサイズ感をあまり感じさせないのが特徴の一つ。
またインテリアには、新しい10.1インチのタッチスクリーンが配置され、それを介してドライバーはトランスミッションシフトスピード、ステアリング、パドルシフター、トラクション、全輪駆動(AWD)、およびサスペンション設定を制御することが可能であり、SRTドライブモードも新たに加わっている。
これら装備の追加を駆使すれば、0-60マイル加速を3.5秒でこなし(デュランゴSRTよりも0.9秒速い)、1/4マイル加速を11.5秒というタイムで走り切る。
さらにサーキットでも、同コースを走るデュランゴSRTよりも1.5秒速くラップするというから、加速、ハンドリングといったあらゆる部分において進化しているのである。
インテリア全体では、デュランゴSRTから大きく印象が変わり、センターコンソールがドライバー側に7度傾けられ、ドライバーを囲む、いわゆるチャレンジャーのようなドライバー中心のコックピットを構築し、同時に既存のデュランゴとは異なるボタン配置を行うことで、新鮮さもうかがえる。
というか、全体の質感が一段上がった印象であり、トップグレードに相応しい内容を得たと言えるだろう。
あわせて、チャージャーやチャレンジャーのような楕円形のステアリングを採用し、パドルも両車と同様のものが装備されているから操作性は抜群である。
そんなデュランゴヘルキャットの実車が続々と上陸している。スペース横浜では、これまでにデュランゴに関してR/TやSRTを積極的に直輸入させてきた経緯もあり、ヘルキャットも情報が出た早期の段階からFCAにオーダーを入れていたということで複数台の販売を行ってきた。で、現在も新車が展示されている。
そのうちの1台を取材。ボディカラーはデストロイヤーグレーで、これまでにホワイト、ブラックといったデュランゴを見てきたが、個人的には最高にカッコいいカラーだと思う。
デュランゴの不気味さを一段増すカラーであり、くわえて内装にチョイスされた最高級レザーのワインレッドのシートが抜群に似合っている。
このデュランゴヘルキャットは、一年間の限定モデル。2018年にチャレンジャーデーモンが1年間限定で発売されたが、このデュランゴヘルキャットも、そうした特別モデルとしての存在価値があると考えていいだろうから、こうした固有のカラーリングと内装色を備えたことで、さらなる魅力と価値を備えたと言っていいだろう(ちなみにこの車両は売却済みであり、別のカラーがある)。
アメリカンSUVには、ラグジュアリーなフルサイズSUVを筆頭にマッチョな性能を備えたミディアムSUVがあり、地味だが実用性を高めたミディアム&スモールSUVがあり、とにかくSUVに関しては選び放題といってもいいほどの数が存在する。
そんな中でのデュランゴヘルキャットは、世界的にも稀有な710hp + 3列シートのミディアムSUVであり、1年間限定モデルであるだけに、人と違うものを求める方には最適な存在ではないだろうか。
なお、この車両の販売を行うスペース横浜は、最新機器を備えた、本国ディーラーと同様の整備体制を敷いており、最新マシンに対応した整備やECUのアップグレードを行っている。
当然最新のデュランゴヘルキャットにも対応しているから、販売のみを重視するその他大勢の他店とは納車の段階から差が出ており個体の安心感が全く異なるのである。
ちなみに余談だが、スペース横浜には、このデュランゴヘルキャットの他に、チャージャーヘルキャットレッドアイワイドボディ、チャレンジャーヘルキャットワイドボディ、シボレーコルベットC8、キャデラックエスカレード、リンカーンナビゲーター、ブロンコ等の新車が展示されている。
330,000円
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