2011年にデビューを飾り、日本の輸入車SUV市場で圧倒的な存在感を放った5代目フォードエクスプローラー。その、ディーラー車のモデルライフ末期にあたる2016年モデルは、内外装の刷新に留まらず、メカニズムの深化と熟成が図られた完成形として今なお異彩を放っている。
もう少し具体的に言うと、2016年にマイナーチェンジを行い販売を始めたと同時に、フォードジャパンの撤退が決まり、日本仕様のエクスプローラーは2016年型が最終となっている。すなわち、マイナーチェンジ版は日本ではたった半年程度しか売られたに過ぎず、だからこそ希少価値が非常に高い。

▲2016年のXLTで走行約6万7200キロの中古車。2015年までの丸みを帯びたスタイルとは一線を画し、スクエアなスタイルに進化。

▲タイヤ&ホイールのみカスタマイズされているが、それ以外はフルノーマル。
エクステリアは、よりスクエアで重厚感を増したフロントマスクと、昨今のクーペ風クロスオーバーとは一線を画す「ザ・SUVスタイル」とも言うべき堂々たる佇まい。
スクエア基調の骨太なシルエットは、プレミアムSUVとしての押し出し感を一段と強く主張している。だが、真のトピックは走りの質感を根本から引き上げたメカニカルなアップデートにある。
自動車業界における「ダウンサイジング」と「エコブースト」の黎明期を切り拓いた同車だが、初期型が搭載した2.0Lターボでの経験を経て、2016年モデルでは新開発の2.3リッター直4エコブーストエンジンへと進化を遂げている。
一見すると排気量アップは逆行のようにも思えるが、これは決して失敗ではなく、2トン超の巨体を無理なく動かすための「適正化(ライトサイジング)」に基づく熟成のチョイスである。
低回転域から湧き出る261ps/42.8kg-m(旧2リッター:243ps/37.3kg-m)の豊かなトルクは、アクセルを深く踏み込まずとも重厚なボディを滑らかに加速させ、結果として実用域のドライバビリティと効率性を大きく飛躍させた。

▲XLTの純正サイズは245/60R18インチ。取材車に装着されていたタイヤは255/50ZR20インチ。

▲ホイールはレイズの20インチ。

▲搭載されるエンジンは2.3リッター直4エコブースト。2015年までは2リッター直4であったから、全てにおいて進化している。
さらに、前後サスペンションのジオメトリー見直しやステアリング制御(EPAS)の最適化により、ドイツ車のような硬質な乗り味とは異なる、荒れた路面や高速道路の継ぎ目を包み込むようなアメ車ならではの鷹揚とした乗り味と、しなやかで骨太なグランドツーリング性能を獲得している。
フォードの日本市場撤退に伴い、正規ディーラー車として手に入るラストイヤーとなったこの2016年型は、新車当時から熱視線を集め続けた希少なモデル。あれからおよそ10年が経過し、中古車市場でのタマ数が限られるいま、果たして現実的な選択肢になり得るのかと疑問を持つ向きもあるだろう。
しかし、初期型で露呈したネガティブな要素が徹底的に対策・改善され尽くした「最も熟成された最終2016年型」というアドバンテージは、何物にも代えがたい。エイブルのような信頼のおけるアメ車専門の主治医と繋がり、これまでの整備履歴が確かな個体を丁寧に選び抜くことさえできれば、10年落ちの中古車という懸念は十分にクリアできる。
幸いにして、今ならまだフォード認定サービスセンターが存在しているから純正パーツに困ることはなく、また純正にこだわらなければ比較的安価なパーツを探すことも可能である。こうした年代のアメ車中古車を大切にケアし、後世に繋いでいくことが今ならまだまだ十分に可能である。

▲インテリアは一昔前の質実剛健的なものから激変し品質感溢れるものになっている。

▲ミッションは6速ATだが、パドル連動になっている。

▲パドル操作での変速も違和感なく素早いもの。

▲視認性の高いメーター類。
ということで、試乗。2016年のXLTで走行約6万7200キロの走行車である。6万キロと聞いて、えっそうなの? と聞き返すほど内外装の状態がクリーンな個体。特にレザーシートの状態の良さは特筆もので、これから購入する方もきっと驚くに違いない。
エンジンは非常に活発で、6速ミッションも何ら違和感なく、この年代からパドルシフトでの操作も可能になっているから色々試してみたが、パワートレインに不安を感じる部分は全くない。
一方、乗り味はイメージよりもシャープな印象だった。それは装着されている20インチタイヤによるものだろう。XLTの純正サイズは245/60R18インチ。取材車に装着されていたタイヤは255/50ZR20インチと一回り大きい。前オーナーが装着したらしい。
だがこのサイズ、当時の上級ラインナップ・リミテッド(3.5L V6自然吸気・4WD)の純正サイズであるから、プラットフォームやフェンダー周りのクリアランス、ブレーキなどの足回り構造が共通であるから、XLTへの装着に問題はない。
ただ、ハンドルの応答性がシャープになり、見た目の迫力が増す一方で、路面の細かい段差での当たりが少し硬質になったり、轍にハンドルが取られやすくなったりする傾向があるが、少なくとも国道246号沿いの一時間程度の試乗においては全く気にならず。それよりも鷹揚としたアメリカンSUVらしい乗り味が今なお味わえることを実感した次第。
ちなみに、インチアップするとホイール自体の重量が増えることが多く、出足の加速感や燃費に影響が出る場合があるが、そこはレイズのホイールで相殺している模様。前オーナーさんはちゃんと考えたインチアップを行っていたと推測できる。

▲走行距離以上の状態の良さを感じさせるレザーシート。

▲セカンドシート以降には使用感をあまり感じさせない。

▲サードシートも同様に状態良く使用感を感じさせない。

▲3列目シートを使用してもリアにはある程度の荷室が存在するから使い勝手は非常にいい。
タイヤ&ホイール以外はフルノーマルであり、駆動系に不安要素が全くない個体は、この時代においては非常に貴重な存在と言える。しかも日本仕様最終の2016年型。2011年登場時の前期型に乗るユーザーさんの乗り換え候補にも適していると言えるだろう。
一方で、フルサイズほどではないが、適切なサイズ感かつアメリカを感じさせるSUVが欲しいと考えている方にもオススメできる。この年代であれば、購入時の車種の見極めさえ間違えなければ、定期的な点検とオイル交換等で長く乗れるはず。ある意味日本車と同等レベルといっても過言ではない。
加えて販売ショップが、中古車の見極めにおいては非常に厳しい目を持っているエイブルであるから、そこも安心材料と言えるだろう。
今、日本におけるアメ車業界は大きな転換期(危機)を迎えている。2024年以降、新車のアメ車が日本に輸入されることが極端に減ったからだ。
だからこそ、エクスプローラーのような名車たちの火を絶やさず、大切にメンテナンスしながら次の世代へとつないでいくことの価値は計り知れない。それを信頼できる目利きショップから購入することは非常に正しい選択と言えるのである。

▲街中から一般道、そして高速においても非常に質の高い走りが感じられるから乗っていて楽しい。

▲サイズ感を含め扱い難さは全く感じない。

▲オールブラックの硬派な印象を与えてくれる。
22,000円
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115,000円
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