TEST RIDE

[試乗記]

リフトアップもアリ! なピックアップ

トヨタタンドラ vol.2

TOYOTA TUNDRA

トヨタ製のピックアップトラックだが、実際に走ってみると、非トヨタ的な部分とトヨタ的な部分が上手く交わった、アメリカンな存在であることが良くわかる。

更新日:2011.12.05

文/石山英次(ishiyama eiji) 写真/石山英次(ishiyama eiji) 田中享(Tanaka Susumu)

取材協力/ベルエアー TEL 0436-40-1212 [ホームページ]

アメリカ向けに考えられて造られた魅力を持っている

 試乗車は2011年型トヨタタンドラのクルーマックス。5.7リッターV8エンジン搭載車の新車である。足回りは、TRDパッケージをセレクトしているために、最初からビルシュタインが装着されており(車高はノーマル)、そこに20インチホイールをセット。ブッシュワーカーのオーバーフェンダーやRBPのサイドステップ等はオーナーの好みによるものだが、「強面のタンドラにこそよく似合う」と思えるほど、違和感なくハマっている。  

 大柄のドアを開けて乗り込むと、意外にもトラックとは言えぬ質感の高さが感じられた。目前に広がる景色にも、アメ車的な殺風景&バタ臭さみたいなものは微塵もなく、かなり乗用車的な雰囲気を発している。たとえばデザイン全般やそこに使われているプラスチックの色、つや、質感等に。だが、それが「日本車的なトヨタ臭さ」とも違うことから、多くの人気を呼んでいるような気がした。つまり、単なる「トヨタの左ハンドル」とは言い切れない魅力が充満しているのである(アメリカ向けに考えられて造られた魅力を持っているということ)。
 またクルーマックスの室内空間はびっくりするほど広く、リアシートの足元スペースには、「まるでリムジン?」とはちょっと大袈裟かもしれないが、そのくらいの印象を受けるほど広大なスペースが広がっている。しかもリアシートはしっかりとスライド&リクライニングする。もはやちょっとしたセダン以上の使い勝手であると断言できる。

 シートに座ってエンジン始動。インパネ各部のスイッチに触れ、フロアシフトの6速ATレバーを動かしスタートする。当初、非トヨタ的と称したインパネ周りの雰囲気だが、実際に動かすと今度はまったく逆の印象を受ける。ATレバーの節度感、動作感触の滑らかさは紛れもなくトヨタ的であり、エンジン始動後のアイドリング状態の静けさからも、かなり上質な印象を受ける。  

ブッシュワーカーのオーバーフェンダーやRBPのサイドステップ等はオーナーの好みによるものだが、違和感なくハマっている。

XD HOSS 20インチホイールをセレクト。タンドラ自体が元々20インチ装着車のため、乗り味自体に変化はない。

ベッドエクステンダーを装着している。アメリカでは、当たり前の装備だという。

一般的使いのトラックとしては「かなりスポーティ」

 全長5809ミリ、全幅2029ミリ、全高1920ミリという大柄のボディは、ビッグ3のピックアップにもヒケをとらぬほどの迫力ではあるが、前方の感覚が掴みやすく、低速でのアクセルのつきも良く、街中の運転でも慣れれば気を遣うことなくドライブすることが可能である。その際のステアリングの反応やブレーキのタッチにも、かなり的確な印象を受けるが、唯一気になったのがV8エンジンの咆哮というか迫力。まだ新車ということもあり、アクセルの7割も踏んでいないので、その部分が残念ながら未確認! パワーだけをみれば間違いなくパワフルで速いのだが(圧倒的です!)、感覚的な部分でアメリカンV8以上なのか未満なのか、それとも互角なのか? 今回は直接試せなかっただけに次回以降の課題としたい。
 
 ちなみに、ビルシュタインのショックだが、新車ということもあり、それほどの速度域まで車速を上げることが出来なかったので、これまた詳しいことは報告できないが、それでも停止手前のブレーキングで、だらしないピッチングが起こったりすることもなく、ちょっとしたコーナーならほとんどロールすることなく曲がっていたことから推測するに、またTRDパッケージというブランドネームから想像するに、一般的使いのトラックとしては「かなりスポーティ」と表現して良いと思っている。

 口さがない生粋のアメ車ファンからすれば、その存在すら認められないのかもしれないが、実際にその姿を目にし、試乗してみた人間からすると、逆輸入車の中でもトップクラスの人気を集めている理由や、アメ車好きがタンドラを好きになることも、もしくはアメ車好きではないけどもタンドラは好き、という人がいることも理解できるのである。そして実際に、ビッグ3のピックアップに勝るとも劣らぬパフォーマンスを備えていることもハッキリと確認できたのである。

TRDのパッケージ装着車のため、オリジナルでビルシュタインのショック等が装備される。

取材に途中参加してくれたリフトアップのタンドラ。ホワイトボディにブラックのオーバーフェンダーが特徴となる。

6インチアップの迫力は圧倒的である。

見かけの迫力で言えば圧倒的にリフトアップ

 圧倒的な存在感を放つタンドラのリフトアップモデル。上記モデル取材当日、偶然にも納車前整備が済んだということで、車高比較のために近場の撮影をお願いした。取材車両は2008年型で6インチのリフトアップ車両。  
 2台を比較すると一目瞭然だが、迫力が全然違う。色や年式の違いはあれど、基本、車高の違いがメインだけに、当初はこれほどインパクトの差が出るとは予想していなかった。だが、車高でこれだけ変わるなら、ピックアップトラックをリフトアップする理由もよく分かる気がする。
 
 ホワイトボディのリフトアップタンドラは、6インチアップに20インチのプロコンプを履き、ブッシュワーカーのオーバーフェンダーでドレスアップしている。個人的な好みで言えば、ブラックのタンドラだが、見かけの迫力で言えば圧倒的にリフトアップである。
 同乗試乗したが、新車と比較して車体の剛性等にほとんど変わりはなく、足回りからミシミシガタガタした異音などもまったくない。強いて上げれば乗り降り時にちょっとした注意が必要なくらいであって、多大なる迫力を求めるオーナーにはお勧めできるのではないかと思う。

>> トヨタタンドラ vol.1の記事を見る

リフトアップの足回りをフロントから撮影。

リアから撮影した足回り。並行車だが、下回りのきれいさに驚いた。

ホイールはプロコンプの20インチ。ホワイト&ブラックのコンビネーションを演出している。

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