サードカマロで国道246や川崎周辺の街中を普通に走ってみた。現代の交通事情のもと、違和感なく走れるし、同乗していた原さんの指示のもと、細い路地にも入ったりしたが、すれ違いも楽々こなし、まったくもって楽勝だった。
久々乗ったサードだったが、イマドキのアメ車に触れていると、逆に小さく感じたし、音や雰囲気がもの凄くいい。「アメ車だ」って感じがひしひし伝わってくるし。
だが、3台乗り比べてみた、あの差は一体なんだったのか? まるでワインの試飲会のごとく、ブラインドテイストで得たサードの違いって?
1台目は、今現在、あるオーナーさんのもとで暮らしている、ありのままのサードでした。走行距離17万キロを越えた、ある意味日本におけるサードの実情と言っても過言ではない個体。オーナーさんも、「そろそろ手を入れないと」と思ってはいるが、なかなか足回りまでたどりつかないとか…。なるほど…。
2台目は、エイブルにて足回りに手が加えられたものだった。といっても過度なチューニングをしたということではなく、年式相応に消耗品を交換し、ちょっとした補強をしたというもの。
内容的には「ステアリングリンケージ系の整備」。アイドラアーム、ボールジョイント、センターリンク、タイロッドエンド&インアウト、スリーブ、コントロールアームブッシュ、エンドリンクブッシュ(スエーバーを支えているブッシュ)、そしてステアリングブレースバーの装着。たったこれだけを見直し、整備しただけであのフィーリング?
「『足回りを見直す』というと、ショックやサスを換えることだと思っている方々が多いのですが、すでに20年近い年月を走ってきた個体は、まずステアリングリンケージ系のパーツのガタやブッシュの見直し&交換をすることで、フィーリングが見違えるんです。ショックを交換すれば、たしかに硬くなることでフィーリングが向上したと勘違いするかもしれませんが、ステアリングにおける「遊び」や「ハンドルの取られ」などは実際には直りませんし、新車時のような爽快なフィーリングは取り戻せません。
この年代のカマロに必要なのは、新品のショックやサスペンションのアップグレードではなく、まずはステアリング系のリフレッシュなんです。実際に乗ってみて違いが分かるでしょ? しかもあのカマロは当初、部品取り車にするつもりだったものなんですよ。逆にいうと、適切に手を加えれば、ここまでのカマロになるということでもあるんですよね」とは原さん。
3台目に試乗したカマロは、ショックを新品に交換したてのサードだった。だからこそのシャープさだったのだろう。乗り心地も明らかに硬質だったし、ハンドリングもシャープ。だが、遊びやステアリングのデッドな感覚は1台目に近い感覚を示していたのは、ステアリングリンケージ系の整備をすることなく、ショックだけが新しくなっていたからなのだろう。
なるほど、この年代のカマロともなると、「力強い」という印象はあれど、パワー数値的にも圧倒的に「速い」ということあり得ない。したがって重要となるのは、「パワー」というよりは全体の心地良い「フィーリング」であり、「ハンドリング」等を重視することが、長く乗るための秘訣となるのだろう。であれば、過度な装飾品を与えたりドーピングをして老体にむち打つよりも、ずっと理にかなっているし、長く付き合える可能性が高まるというものである。
1台目に試乗したカマロも、3台目に試乗したカマロも、ステアリングリンケージ系のリフレッシュを行えば、それこそまったく違う世界が見えるに違いない!
さすが専門店だった。20年車という不安があれど、それを見事に払拭する術を心得ているし、実際にエイブルで販売されるカマロには、あの足回りのリフレッシュが行われているというから、心強い。
逆に、20年車でも、ここまで復活させられるという意味でもあるわけだから、すでにサードを所有されている方も、それなりの年月を経ていれば足回りのリフレッシュを試し見る価値はあると思う。効果覿面!。是非検討してみることをお勧めします。
90年代アメ車、まだまだ捨てたもんじゃないし、逆に積極的にお勧めできると確信したし、個人的にも欲しい!
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