アメ車&逆輸入車のプロオーナーを紹介するこのコーナー、第二回目に登場していただいたのは、九州の熊本でアメ車専門店『ハーツライジング』を運営している山本英俊氏だ。
ハーツライジングはオープンから現在に到るまで、K5ブレイザーやサバーバン、C/Kピックアップトラック等、70年代から90年代にかけてのちょっと古めのGM製SUVやピックアップトラックを中心に取扱っているショップである。そんなハーツライジングの代表である山本氏が、今回「愛車にするのは初めて」というフォード車を選んだ理由とは? また、実際に愛車として付合ってみた感想を聞いてみた。
まず最初に山本氏に聞いたのは、彼のアメ車遍歴について。フォード車を買ったのは今回が初めてという山本氏だが、これまで一体どんなアメ車を乗り継いできたのだろう?
「最初にアメ車を購入したのは24歳前後。1990年型のシボレー・コルベットでした。当時務めていた輸入車専門店がアメ車を主力車種として取扱うようになって、たまたま入庫してきたコルベットの並行輸入車を買ったのが最初です。シノダのフルエアロを組んだクーペだったんですが、あまり調子は良くなかったですね(笑)」。
「次に買ったのもC4コルベット。これも並行輸入車で、チェリーブラックのLT1の最初のモデル(92年型)。その次に買ったのもまたC4。94年型の白のD車でした。1台目と2台目はそれぞれ1年前後。3台目の白は3年くらい乗りましたが、今のお店をオープンするために手放しました」
アメリカンSUV&トラッキンの専門店として認知されているハーツライジングの社長だけに、最初のアメ車がコルベットというのは少し意外な気もしたが、自分の好みと商売は別ものという事だろうか?
「いえ、そういうわけではありません。ただ、僕くらいの年齢のクルマ好きって、若い頃には皆スポーツカーが好きでしたよね。僕らが若い頃、ミニバンやSUVに乗りたいって人は周囲にほとんどいなかった。友人は皆速いクルマが好きだったし、そもそも10代後半から20代前半の若い頃って、2座席あれば十分じゃないですか?(笑)」
ハーツライジングの開店資金のために愛車を手放したという山本氏だが、その後はどんなアメ車を愛車にしたのだろう?
「今のお店を始めてから暫くの間は自分の愛車を持つ余裕は全くなかったんですが、ある程度仕事が軌道に乗ってからオールズモビル・カスタムクルーザーワゴン(シボレー・カプリスワゴンのオールズモビル版)を買いました。年式は忘れましたが、80年代後半のスクエアなボディのモデルで半年くらい乗ったかな。そしてその次が72年型のシボレー・ブレイザーで、これが2年くらい。その次が87年型のK10で、これが3〜4年。その次が77年型のK10で、これは半年くらい乗った後に当時のスタッフに譲りました。で、そのK10が最後で、それ以降は自分名義の愛車としてアメ車は持っていません」
「実は最後の先に話したK10以降も、自分で乗るつもりで仕入れたクルマが何台かあったんですが、仕入れる端から売れてしまったんですよね(笑)。そういうわけで、今回のブロンコは久々の愛車になります。また譲ってほしいという話がきそうな気もしますが、これは暫くは乗ってみたいと思っています」。
コルベットからアメ車に入り、さらにC4だけで3台も乗り継いだ山本氏が次に買ったのがステーションワゴン。さらにその後は現在のハーツライジングの主力車種とも言えるブレイザーやKシリーズと変遷していったわけだが、2座席のクーペからジャンルの全く異なるSUVに行ったきっかけは何だったのだろう?
「家族構成が変わった事が一番の理由ですね。やっぱり結婚して家族が出来たのが大きい。コルベットじゃ嫁さんと子供が乗せられませんからね(笑)。また、加齢と共にライフスタイルも随分と変わりましたから」
「ちょっと話がズレるかもしれませんが、僕にとって愛車というのは単なる移動手段ではないんですよね。
クルマというのは便利な道具であるのは間違いないんですが、それだけが存在意義じゃない。もちろん見栄やステータスのために所有するものでもない。自分自身のライフスタイルを演出する為に欠かせないアイテムとでもいうか、ライフスタイルそのものと言ってもいいかも? 物理的にだけじゃなく、精神的にも生活を豊かにしてくれる存在であってほしいんですよ」
「例えば、休日に家族で出かけるとするでしょう? 大概は目的地があって出かけるわけですが、その時の足が古い味のあるアメリカンSUVだったりすると、行き帰りの道中も楽しいじゃないですか? 何処にでもある国産のミニバンとはワクワク感が違いますよね?」
「また、誰にだってたまには1人っきりでオフの時間を楽しみたい時とかあるでしょ? オフの時間というのは、基本的には非日常を味わいたいわけです。世知辛い日常から離れてリフレッシュしたい時に、足が軽自動車や営業車みたいなクルマじゃ非日常も何もないですよね?(笑)」。
「こういう仕事なのでタイミングみたいなものはありますし、そういう意味では僕の愛車のラインナップに今の自分の仕事が無関係という事はありません。
ただ、これまでに所有した愛車のラインナップというのは、その時々の自分のライフスタイルに合っていたし、乗りたいと思ったクルマ達であったのは間違いないですね」
>>フォード ブロンコ エディバウアー/ハーツライジング vol.2へ
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