ひと昔のアメ車といえば、ATFならGMはDEXRON、フォードはMERCON、そしてエンジンオイルは硬めの鉱物油、デフオイルも80W90の鉱物油……。多少の知識と記憶力で対応できたものだが、最近では同じメーカーでも年式、グレード等でオイルの種類が異なるケースがあり、間違って入れると故障の原因になってしまうという。つまり、アメ車の進化とともに、オイルにも気を使わなくてはならないのだ。
というわけで、ATFの変遷を見てみよう
●メーカ別ATFの進化の過程
【GM】
Dexron
言わずと知れた、GMオリジナルATF
Dexron II
性能を向上させたDexronの後継ATF
Dexron IIE
GM電子制御AT用ATF
Dexron III
Dexron IIEからの代替として対酸化性能などを向上させたATF
Dexron III(H)
2003年にリリースされたDexron IIIの性能向上版
Dexron VI
2006年にリリースされたGM Hydra-Matic 6L80 6-speed 向けATF。Dexron II、IIIの代替として、II、IIIが指定のATにも使用可能。
【FORD】
Type F
1967年に発表されたFord AT 向けATF。トヨタも使用していた。
Type CJ
Ford C6トランスミッション用。Type Fが指定のATには使用不可。現在はMercon又はMercon Vで代用可能。
Type H
Type CJ同様, Type Fとは異なるスペックのスペシャルATF。現在はMercon又はMercon Vで代用可能。
Mercon
1987年にリリースされたFordオリジナルATF。Type Fが指定のAT以外の旧車には代用可。2007年には生産、ライセンスともに終了しその役目をMercon Vに引き継いでいる。
Mercon V
Merconの後継ATFとして1997年にリリース。現在でも多くのFordのトランスミッションがMercon Vを指定ATFとしている。
Mercon SP
最新のFord TorqShiftトランスミッション専用ATF。TorqShift ATにMercon,Mercon Vの使用は許されないので注意!
【CHRYSLER】
Chrysler 7176
Chrysler FWD transaxles 向け
Chrysler 7176D(ATF+2)
7176に冷間時の流動性、対酸化性を向上させ1997年にリリース。
Chrysler 7176E(ATF+3)
ベースオイルの質を向上させATF+2よりさらに進化。GM Dexron, Ford Merconは代替として使用不可。
Chrysler ATF+4
1998年にリリースされたATF+4は化学合成油でATF+3の後継ATF。ほとんどのATF+3指定のATに使用可能だが、1999年モデル以前のミニバンで41TE/AEトランスミッション搭載車には使用不可。ATの指定油がATF+4の場合必ずATF+4を使用すること。
Chrysler ATF+5
2002年以降の車両向けATF
オートマチックトランスミッションの歴史とともに様々な種類のATFが存在することがお分かりいただけただろうか? そして自分のクルマに使うべきATFは?
ありえない話だと思うが、馴染みのショップが仮にこのことを知らなかったら、あなたの愛車に入れられたATFは何? そんな不安が過ぎりませんか?
とにかく大切なことは、メーカーの指示に従ったオイルの種類、量を守ること。車両添付の取り扱い説明書に明記してある種類、量をいれれば何の問題もないのである。
●次回予告
とはいいつつも……。やはりオイルトラブルに関するさまざまな情報が寄せられている。次回は現実に起こったトラブルをベースにオイル事情を取材リポートする。
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