取材車輌は93年型シボレーC1500 454SS。いわゆる伝説の1台と言われる希少価値の高いモデル。現在この4545SSを入手しようとすれば、それこそ車輌の状態把握から始まり、その個体の程度や距離やその他機関系のメンテナンス状態等を見つつ、個体入手の金額と入手後にかけるメンテナンスの金額を算出しなければならないだろう。
そもそも優良な個体が見つかるかさえもわからない。なんせ希少車である。だからこそ、走りの状態は当然見極めたいし、年式による装備の違いにも気を遣う。ちなみにこの454SS、90年から4年間のみ限定製産されたハイパフォーマンスモデルだが、90年モデルのみ3速ATだったりするから気をつけたい。
というような前置きをしつつ、撮影車輌の紹介である。この車輌、あるオーナーさんが10年来乗っていた愛車だった。アメ車ワールドのイベントレポート内でエイブルのツーリングにも参加していた個体であり、つい最近、ご家族が増えることになり泣く泣く手放すことになったという(ちなみに次もまたアメ車に乗るらしい)。つまり、ほんのつい最近まで実際に乗って走っていた車輌であるということと、この10年来ずっとエイブルがメンテナンス管理をしていたということで、その程度の良さを体験させてもらうことにしたのである。
シボレーC1500 454SSとは、90年代を代表するハイパフォーマンスモデルの1台であるが、実際に製産されたのは4年間のみ(90-93年)。総生産台数16953台。そのうち初年度90年に13748台が製産され、91年が983台、92年が1379台、そして最終年の93年が843台となっている。
90年に登場した初期モデルは、ブラックのボディカラーのみでインテリアは真紅の専用品(ガーネットレッドのクロスインテリア)。それに7.4リッターV8と3速ATが組み合わされ、グッドイヤーのスペシャルタイヤとともに圧倒的な性能を誇ったのである。
ちなみに、諸説あるが、この90年型のV8は230hpを発生させていたが、翌年91年モデルからは255hpに進化、足回りにもビルシュタインショックが装備される等、リファインされているという。さらにATが3速4速に変更されているので、中古車を探す場合はこの91年以降を探す方が多いと言われている(車輌自体は90年型が一番多いのだが…)。
そして92年と最終93年モデルでは、91年モデルのメカニズムを踏襲しつつボディカラーが増え、それまでのオニキスブラック一色から、ヴィクトリーレッドとサミットホワイトの2色が追加されている。これに組み合わされるインテリアは、初期と同様のガーネットレッドのクロスインテリアとなる。
取材車輌は、454SSの最終年式となる93年型。走行距離は6万マイル弱。若干のローダウンとともにカヤバのショックが装備されており、マフラーとバセットのホイールが雰囲気を高めている。これまで見てきた454SSといえば、かなり車高の低いものが多かったが、この個体は低くなってはいるが普通に使用するにおいてはまったく気を遣わない程度に収まっている。聞けば「入手後初期の頃は車高が低過ぎて乗り難かったので、普通に乗れるように今の状態まで上げたのです」とのこと。
それ以外ではインテリアでステアリングが変わりABCペダルが変更されているが、全体的に見て、クルマの性格ががらっと変わってしまうようなカスタムは施されていない。
ということで早速246から川崎周辺を試乗である。
エンジンを始動しコラムシフトのギアを「D」に入れるまでは、それこそ普通のC1500レギュラーキャブと大差はないが、ギアがかみ合った瞬間からまずATの巨大なクリープ現象に驚かされる。それとビッグブロックの振動にも。けど、これこそが偉大なる大排気量のアメ車に跨がっている雰囲気を高めてくれるし、並のC1500とはまったく違う部分でもある。
このクリープ現象を生かしつつ(慣れると運転しやすい)アクセルを軽く踏み込むと、言葉では簡単に言い表わせない巨大なトルク感に包まれる。
エイブル原代表いわく「このクルマはトルクとパンチを楽しむクルマだよ」と試乗前に教えてくれたが、まさにその通り。国道246では信号から信号への距離間ですら楽しめる。逆に、下手に高速とかに行かず街中でも十分に楽しいハイパフォーマンスモデルとして認識すべきかも。
ボディはレギュラーキャブで、しかも運転席からの視界が良く、四隅の感覚が掴みやすいので運転が楽。それでいてアクセルを踏み込めば圧倒的なパンチ力でドライバーを魅了する。重たいエンジンをフロントに搭載しているにもかかわらずキビキビ動き、カヤバショックとアイバッハのサスで制御された足もまだまだ十分に動いて仕事をこなしているし。
実際には「たかが255hp」ということになるのだろうが、全体的な雰囲気から伝わって来る「凄み」は、現代の300hp以上クルマでも叶わぬものであり、たった255hpだが、その印象は現代の400hp超のハイパフォーマンスカーにも匹敵する。エンジンの振動やサウンドを加味すれば、その刺激度に関しては圧倒的であり、「越えている」といっても過言ではない。
それに、全体的にブラックで統一されているボディの印象が硬派でもあり(アメ車的走り屋さんっぽい)、誰かが言っていいが「454SSはC1500界のGT-Rだよ」という言葉に妙に納得してしまう(わかる人には分かると思いますが、RB26時代のスカイラインGT-Rデスネ)。
ひと目見て分かったが、このクルマには街の中古車屋さんで眠っていたような擦れた印象は微塵もなく、実際に乗っても分かったが、本当につい最近まで走らせていた実走の感覚でいっぱいである。さらにシート等の装備品にも使われていたような使用感はありつつも、もの凄い程度の良さ(大切に使われていた感)が保たれており、仮にこのまま乗って帰っても気にならないようなレベルであったことを報告しておこう。
この454SSが現役で走っていた時代のいわゆる90年代のアメ車のプチブームが今、確実に起こっている(カマロにC4にタホにトランザムにキャデラック…etc)。そんな時代の程度良好車が手に入るのもあとわずかかもしれない。だからこそ、注目すべきで1台あると思うのである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES