TEST RIDE

[試乗記]

4年間のみ発売されたビッグブロック搭載のスペシャルモデル

シボレーC1500 454SS (CHEVROLET C1500 454SS)

その名も「ザ・スリルマシン」

C1500のレギュラーキャブ&ショートベッドに2500/3500シリーズにオプション設定されていた454キュービックインチ=7.4リッター V8エンジンを搭載したハイパフォーマンスモデル、その名も「454SS」は、90年代のアメ車を代表するスペシャルモデルの1台である。

更新日:2013.08.19

文/石山英次 写真/田中享

取材協力/エイブル TEL 0448571836 [ホームページ] [詳細情報]

4年間限定発売の希少車種

 取材車輌は93年型シボレーC1500 454SS。いわゆる伝説の1台と言われる希少価値の高いモデル。現在この4545SSを入手しようとすれば、それこそ車輌の状態把握から始まり、その個体の程度や距離やその他機関系のメンテナンス状態等を見つつ、個体入手の金額と入手後にかけるメンテナンスの金額を算出しなければならないだろう。

 そもそも優良な個体が見つかるかさえもわからない。なんせ希少車である。だからこそ、走りの状態は当然見極めたいし、年式による装備の違いにも気を遣う。ちなみにこの454SS、90年から4年間のみ限定製産されたハイパフォーマンスモデルだが、90年モデルのみ3速ATだったりするから気をつけたい。

 というような前置きをしつつ、撮影車輌の紹介である。この車輌、あるオーナーさんが10年来乗っていた愛車だった。アメ車ワールドのイベントレポート内でエイブルのツーリングにも参加していた個体であり、つい最近、ご家族が増えることになり泣く泣く手放すことになったという(ちなみに次もまたアメ車に乗るらしい)。つまり、ほんのつい最近まで実際に乗って走っていた車輌であるということと、この10年来ずっとエイブルがメンテナンス管理をしていたということで、その程度の良さを体験させてもらうことにしたのである。

搭載されるエンジンは7.4リッターV8。デビュー当時は230hpを発生させたが、翌91年からは255hpに進化している。組み合わされるミッションは90年が3速AT、91年以降は4速ATとなっている。ちなみに5.7リッターV8搭載のC1500のパワーは160hpだった。

本国では「ザ・スリルマシン」と称されたスペシャルなトラック。4年間のみ製産された限定車で、最終年となる93年型は全世界で843台しか存在しない。

このクルマを10年来面倒見てきたエイブルの原氏も、「程度から見てもまだまだこのクルマの面白さは味わえます」とのことだ。

車高が若干下げられホイールが変更されてはいるが、その他ブラックアウトされているエクステリアはノーマルのまま。走り屋風情を感じさせる何とも言えないオーラが特徴である。

7.4リッタービッグブロックV8搭載車

 シボレーC1500 454SSとは、90年代を代表するハイパフォーマンスモデルの1台であるが、実際に製産されたのは4年間のみ(90-93年)。総生産台数16953台。そのうち初年度90年に13748台が製産され、91年が983台、92年が1379台、そして最終年の93年が843台となっている。

 90年に登場した初期モデルは、ブラックのボディカラーのみでインテリアは真紅の専用品(ガーネットレッドのクロスインテリア)。それに7.4リッターV8と3速ATが組み合わされ、グッドイヤーのスペシャルタイヤとともに圧倒的な性能を誇ったのである。

 ちなみに、諸説あるが、この90年型のV8は230hpを発生させていたが、翌年91年モデルからは255hpに進化、足回りにもビルシュタインショックが装備される等、リファインされているという。さらにATが3速4速に変更されているので、中古車を探す場合はこの91年以降を探す方が多いと言われている(車輌自体は90年型が一番多いのだが…)。

 そして92年と最終93年モデルでは、91年モデルのメカニズムを踏襲しつつボディカラーが増え、それまでのオニキスブラック一色から、ヴィクトリーレッドとサミットホワイトの2色が追加されている。これに組み合わされるインテリアは、初期と同様のガーネットレッドのクロスインテリアとなる。

ステアリングはノンオリジナル。その他コックピット周りの雰囲気はプラスチッキーな旧アメ車的な雰囲気だが、それはそれで趣きがあって嫌いではない。C4コルベット時代に共通したタッチもまた悪くはない。

ガーネットレッドのクロスインテリアが特徴となる454SS。多少の使用感はあるが、中古車として長年置きっぱなしにされた擦れた印象は微塵もなく、全体的なコンディションの良さを感じさせる。

パワーウインドー等を動かしチェック。ちょっと意地悪な感じで動かしてみたが、動作確認はまったく問題なし。

まるで荷台のあるスポーツカーのような雰囲気がたまらない。これもまたアメ車でしか味わえない醍醐味のひとつである。

このクルマでしか味わえない感触

 取材車輌は、454SSの最終年式となる93年型。走行距離は6万マイル弱。若干のローダウンとともにカヤバのショックが装備されており、マフラーとバセットのホイールが雰囲気を高めている。これまで見てきた454SSといえば、かなり車高の低いものが多かったが、この個体は低くなってはいるが普通に使用するにおいてはまったく気を遣わない程度に収まっている。聞けば「入手後初期の頃は車高が低過ぎて乗り難かったので、普通に乗れるように今の状態まで上げたのです」とのこと。

 それ以外ではインテリアでステアリングが変わりABCペダルが変更されているが、全体的に見て、クルマの性格ががらっと変わってしまうようなカスタムは施されていない。

 ということで早速246から川崎周辺を試乗である。

 エンジンを始動しコラムシフトのギアを「D」に入れるまでは、それこそ普通のC1500レギュラーキャブと大差はないが、ギアがかみ合った瞬間からまずATの巨大なクリープ現象に驚かされる。それとビッグブロックの振動にも。けど、これこそが偉大なる大排気量のアメ車に跨がっている雰囲気を高めてくれるし、並のC1500とはまったく違う部分でもある。

 このクリープ現象を生かしつつ(慣れると運転しやすい)アクセルを軽く踏み込むと、言葉では簡単に言い表わせない巨大なトルク感に包まれる。
 
 エイブル原代表いわく「このクルマはトルクとパンチを楽しむクルマだよ」と試乗前に教えてくれたが、まさにその通り。国道246では信号から信号への距離間ですら楽しめる。逆に、下手に高速とかに行かず街中でも十分に楽しいハイパフォーマンスモデルとして認識すべきかも。

 ボディはレギュラーキャブで、しかも運転席からの視界が良く、四隅の感覚が掴みやすいので運転が楽。それでいてアクセルを踏み込めば圧倒的なパンチ力でドライバーを魅了する。重たいエンジンをフロントに搭載しているにもかかわらずキビキビ動き、カヤバショックとアイバッハのサスで制御された足もまだまだ十分に動いて仕事をこなしているし。

ペダル類が社外品のものに交換されていた。前オーナーの名残となるが、使い勝手が悪くなるようなものではなかったので、問題はない。

一世を風靡したバセットホイールを装着していた。このクルマの雰囲気にはベストマッチと言えるのではないか。

日本では必需品のトノカバーも装備。荷台もまったく問題はなく、前オーナーさんの日常的な使用状況の良さが分かるものだった。

今となってはたかが255hpだが…

 実際には「たかが255hp」ということになるのだろうが、全体的な雰囲気から伝わって来る「凄み」は、現代の300hp以上クルマでも叶わぬものであり、たった255hpだが、その印象は現代の400hp超のハイパフォーマンスカーにも匹敵する。エンジンの振動やサウンドを加味すれば、その刺激度に関しては圧倒的であり、「越えている」といっても過言ではない。

 それに、全体的にブラックで統一されているボディの印象が硬派でもあり(アメ車的走り屋さんっぽい)、誰かが言っていいが「454SSはC1500界のGT-Rだよ」という言葉に妙に納得してしまう(わかる人には分かると思いますが、RB26時代のスカイラインGT-Rデスネ)。

 ひと目見て分かったが、このクルマには街の中古車屋さんで眠っていたような擦れた印象は微塵もなく、実際に乗っても分かったが、本当につい最近まで走らせていた実走の感覚でいっぱいである。さらにシート等の装備品にも使われていたような使用感はありつつも、もの凄い程度の良さ(大切に使われていた感)が保たれており、仮にこのまま乗って帰っても気にならないようなレベルであったことを報告しておこう。

 この454SSが現役で走っていた時代のいわゆる90年代のアメ車のプチブームが今、確実に起こっている(カマロにC4にタホにトランザムにキャデラック…etc)。そんな時代の程度良好車が手に入るのもあとわずかかもしれない。だからこそ、注目すべきで1台あると思うのである。

ビッグブロック搭載とは言え、現代のクルマと対比してしまうと、速さという点においては、正直それほどではないかもしれない。だが、一瞬のパンチ力においては、現代でも通じるだけの魅力、魔力があると断言できる。

ちょっと古い90年代のアメ車に興味がある人には、もしくは過去に憧れていた人には、それと、現代の最新のアメ車がつまらないと感じている人には、最高に面白い1台となるに違いない。

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