TEST RIDE

[試乗記]

かつての路上の帝王も今やラグジュアリーサルーンへ変身

クライスラー300 (CHRYSLER 300)

テインの車高調装備で大径ホイールも余裕で履きこなす

最近では不人気車のレッテルを貼られた感のある現行300だが、中古車市場では意外にも超お得マシンとして人気上昇中なのである。

更新日:2015.10.29

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/ガレージダイバン TEL 0356073344 [ホームページ] [詳細情報]

初代300から激変したイメージによる不人気

 現行クライスラー300は、不遇のアメ車として伝えられている。それは中古車にもおよび、不人気モデルとしてのレッテルを貼られた感もある。だが、大径履いて雰囲気を味わうにはちょうどよい選択肢のひとつかもしれない。とくにラグジュアリーなセダンを求める向きには絶好のアイテムだろう。

 理由としては、かつて「路上の帝王」といわれた先代型ほど人気がないからこそ、オンリーワン的な優越感が味わえる。また、だからこそ、中古車が荒れておらず、「え~」と驚きを発するほど、安価なのである。

 具体的には、まだディーラー保証が残る年式にもかかわらず、2013年型が300万円以下で購入可能。しかも走行1.2万キロにも満たない極上コンディションである。

 ただし、そこには若干のからくりがある。それはボディカラーと革シートの放棄。さすがに不人気とはいえボディカラーが白、黒はやっぱり高い。かつレザーシート装備はもっと高い。このレザー、イタリア製のポルトローナ・フラウ社製のレザーが使用され、それは一部フェラーリなんかにも使用されているだけあって、その分のプライスが上乗せされる。

旧型のギラギラとしたマッスル的な印象が影を潜め、分別のある大人的なラグジュアリーサルーンの雰囲気に変わっている。クラウン好きには最高の好敵手と言えるのではないだろうか。

リアの滑らかな造形は、ちょっと心当たりが見当たらないほど、突出したデザインとなっている。まさにグラマラスとは300のリアのこと。

搭載されるエンジンは、可変バルブタイミング機構付き3.6リッターV6DOHC。286ps、最大トルク34.7kg-mを発生させ、8ATと組み合わせられる。

だが中古車としては逆にお買い得

 だが、今回取材したシルバーだと、そして布シートだと、中古車流通のメインストリームから若干外れるだけに、比較的安価で入手可能なマシンとなるのである。

 ちなみに、その不人気の理由だが、それはクルマ自体が悪いわけではなく、イメージの変化が激しかったからである。爆発的に売れた先代型は、プチベントレーとまで言われ、まさしく路上の帝王バリの悪っぽさが前面に押し出された、いわゆる爆発的マッスルセダンの1台だった。

 一方、現行は、そのイメージを一気に変え、ラグジュアリーなセダンを目指してしまったわけである。そこには、クライスラーのパートナーがメルセデスから、フィアットに変わったという時代的な流れももちろんあったわけだが…。

 そんな2013年型の300だが、これが今乗ると非常にいいのである。搭載されるエンジンは、可変バルブタイミング機構付き3.6リッターV6DOHCエンジンで、8ATと組み合わせられる。

 パワー的には286ps、最大トルク34.7kg-mを発生させるV6は、フィーリング良く軽々吹け上がる。今乗ってもまったくストレスなく、小刻みかつ滑らかにシフトアップしていく8ATとの相性も良く、静かで安楽な走行感覚が好ましい。まさにラグジュアリーな雰囲気で満たされ、「マッスル」という雰囲気は微塵も感じさせない。

 ボディの剛性は格段に高く、静粛性も高く、思っていた以上に豪華かつ高品質感に溢れ、それはたとえばキャデラックCTS以上に高級サルーンな雰囲気なのである。ちなみに、それは醸し出す雰囲気のことであり、300はクラウン好きには最高の好敵手のような気がするが、一方でキャデラックはどちらかというとスポーツセダンの風情である。

 この年代の300には、装備の部分で2種類のグレードがあり、ノーマルが18インチ、ラグジュアリーが20インチを履いていた。

 だがダイバン300は、そこに22インチのレグザーニを履かせ、ショックにテインを入れて乗り心地と走行性能の両立を極めて高いレベルで実現している。

インテリアは格段に洗練され、この年代のチャージャー、チャレンジャーとの兄弟車とは思えぬ良質な雰囲気。日本正規ディーラー車は右ハンドルのみ。シフトレバーは特異なデザインだが、操作性は悪くない。

サファイアブルーのLED照明がインストールされたインパネ。大型の二連メーターをクールにともす。こういった手法が妙に似合うラグジュアリーサルーンである。

「300ラグジュアリー」ではシート表皮がイタリア製のポルトローナ・フラウ社製のナッパレザーに。基本グレードの「300リミテッド」ではファブリックとなる。だが、中古車市場では、この布シートモデルこそお買い得感が高く、もしレザーが良ければ購入後の張り替える方法もある。それでも安価である。

テインのショックと大径ホイールの組み合わせ

 ノーマルだとやっぱり制御の甘さが否めない。バタンバタンと段差で明確な衝撃が伝わってくる。一方、ダイバン300は、同じところを走ってもまったく衝撃を伝えない。わずかに「タン、タン」と感じるが、例えば助手席の誰かと喋っていれば絶対にわからない程度の衝撃に収まっている。

 やはり、もともとの道によるセッティングの違いだろう。ノーマル300はあくまでアメリカ本国の道路をコンディションよく走るセッティングである。仮に欧州仕様となれば高速道路を疾走するにはちょうど良いかもしれないが、日本の一般道路を走る速度域だと硬すぎたり、また柔らかすぎたりを起こすのは自明の理。

 だからこそ、変化をもたらすなら、日本の道路を知り尽くした日本製のショックをチョイスするのがいいに決まっている。

 今回ダイバン300が装着しているショックはテインの車高調整機能付き+減衰力調整ショック。車高の高さを好みに調整でき(当然だがタイヤを外して調整する)、減衰力は30段階調整機能つきで、これはダイヤルにて調整可能である。

 だから、22インチを履いた場合の車高と減衰力を好みに応じて調整できるからこそ、大径ホイールを履いたことによるゴツゴツ感を解消しつつ、同時にロールやピッチングをなくし、なめらかな走行性能および高速での安定感を得ることが可能になるのである(もっと硬く、もっと柔らかくは自由自在)。

 ちなみに、この300だが、ベースとなるシャシーはチャージャー、チャレンジャーと同じだけに、この車高調整キットは各車それぞれに装着できるメリットもある。

 さらに、このテインの車高調と22インチレグザーニとのセットで55万円という超お値ごろ価格を実現しているというから、300オーナーだけでなく、チャージャー、チャレンジャーオーナーにおいても朗報だろう。

 車高の高さと減衰力の調整の幅を考えれば、それこそ無限大の乗り味をもたらすことができるだけに、好みの味を求める向きには絶対的にオススメであり、またノーマル車にお乗りで、そろそろショックの寿命が近い各車オーナーにも、どうせならテインを履いておくことをオススメしたい。

 輸入品のショックにももちろん良品はたくさんあるが、日本の道を知っている者が作った日本製ショック、しかも300、チャージャー、チャレンジャーでセッティングしているオリジナル品だけに、日本の道にあった足を持ったアメ車に乗れるようになるのだから、外国製ショックよりも何十倍も快適になると断言できるのである。

レグザーニ、ARTEMIS 22インチホイールを装着する。ガレージダイバンでは、このレグザーニとテインのショックをセット価格で販売している。

テインのショックは減衰力30段階調整機能つきで、これはダイヤルにて調整可能であるから、比較的安易に好みの硬さをチョイスすることが可能。非常に便利なアイテムである。

日本の道を知っている者が作った日本製ショック、しかも300、チャージャー、チャレンジャーでセッティングしているオリジナル品だけに、大径ホイールを履いたことによるゴツゴツ感を解消し、同時にロールやピッチングをなくし、なめらかな走行性能と安定感を得ることが可能になるのである

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