TEST RIDE

[試乗記]

「インフィニティ=スポーティ」のコンセプトを受け継ぐクロスオーバー

2013 インフィニティJX (INFINITI JX)

当時のFXを凌ぐサイズ感と室内空間

2012年に登場したインフィニティJX。車内空間の大きささFFモデルというキャラクターを鑑みると、当時のラインアップのヒエラルキーからはちょっと外れた一台だった。だが、そのコンセプトこそが今に続くクロスオーバーブームの中心となりうるものだった。

更新日:2018.01.18

文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力/ベルエアー TEL 0436265700 [ホームページ] [詳細情報]

ブランドのコンセプトをクロスオーバーで実現

 インフィニティJXは2012年3月に米国にて発売が開始された当時最新鋭のクロスオーバーSUV。ボディサイズは、全長4989×全幅1961×全高1722ミリ、ホイールベース2901ミリと、サイズ的にはFXシリーズを凌ぐもの。車格的には当時のEX(スカイラインクロスオーバー)とFXの間に入りそうだが、5メートルに迫る全長などはむしろFX以上のものだった。

 だが、2011年に登場したフォードエクスプローラー以降、3列7シーターのクロスオーバーSUVは注目の的であり、今に続く一大ブームを巻き起こしただけに、2018年となった今見ても非常に新鮮味のある存在だった。

 基本グレードは、FFの「JX35 FWD」とAWDの「JX35 AWD」の2種類となる。なお、このJXは2014年に「QX60」へとネーミング変更がなされている。

 シャシーには「日産ムラーノ」などと共通のDプラットフォームを採用しており、3.5リッターV6&CVTという組み合わせのパワートレインも同様。このエンジンは265hp/6400rpm、最大トルク248lb-ft/4400rpmを発生させる。

基本グレードは、FFの「JX35 FWD」とAWDの「JX35 AWD」の2種類。搭載されるエンジンは3.5リッターV6&CVTという組み合わせとなる。

 インテリアはインフィニティの名にふさわしい優雅なもので、シート座面やインパネなどにあしらわれた、同ブランドならではの有機的なラインが特徴的。もちろんウッドやレザーなどの高級素材が随所にあしらわれている。

 シートは3列シートの7人乗り仕様だが、前述したおおらかなボディサイズの影響もあり、またFFベースを採用することにより、広大な室内スペースを手に入れている。後席をたためば、往年のアメリカンステーションワゴンを彷彿とさせる広大なラゲッジルームが得られる。

 セカンドシートには、マルチモード・ミドルシートを採用し、2列目にチャイルドシートを装着したまま、3列目に乗り込むことを可能とし、またサードシートの足元スペースにもこだわり、ファミリーカーとしての機能性や利便性、安全性までをもしっかりと追求しているのである。

 そういう意味では、スポーティSUVというコンセプトである当時のFXシリーズとは基本コンセプトが全く異なると言っていいはずである。

 とはいえ、実際に走らせてみると、FX35ほどのキビキビ感はないが、それでもインフィニティらしい優雅な乗り味を実現し、ラグジュアリーな雰囲気を味わわせてくれるのはさすが。

インフィニティの名にふさわしい優雅なインテリア。ウッドやレザーなどの高級素材が随所にあしらわれている。

 JXの対外的なライバルはずばりフォードエクスプローラーとなるのだろうが、サイズ的にはそれよりも一回り小さい感じがするし、走らせればそうしたアメリカンミッドサイズSUVよりも明らかにシャープな走りを実現するのが嬉しい。

 室内の品質感やデザイン的な要素はすべて他のインフィニティに共通するものであり、クロスオーバーとはいえ満足感は非常に高いのである。そういう意味ではこれ一台ですべてをまかなうことは当然可能だし、たとえばGT-Rのような走り専用マシンのセカンドカーとしても十分に機能するはずである。

 なお、取材したベルエアーには、JX以外にもQX系があり、インフィニティだけでなくUS日産系の逆輸入車も複数手がけている。当然ながらすべてにおいて在庫車を持ち、メンテナンス等のポイントも抑えており、関東圏では数少ないインフィニティ取り扱い店としても活躍中なのである。

サードシートをたためば、往年のアメリカンステーションワゴンを彷彿とさせる広大なラゲッジルームが得られる。

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