このクルマがデビューした2011年当時、あまりに変貌した姿カタチに賛否両論あったことを記憶する。筆者も、正直言って慣れるまでに時間がかかったクチである。
だが、しばらくして試乗してみると、「なるほどね…」と思わずにはいられなかった。旧モデルのような骨太で、後ろから蹴られるようなダッシュの感覚はなくなったが、それでも品質感に溢れ、手に入れる喜びが格段に増えていたからである。
その後決定的だったのだが、JAIAでの試乗であった。年に一度行われるジャーナリスト向けの外車メーカー合同試乗会のことである。そこでアメ車とは関係ない他国のSUVと乗り比べたことで、改めてアメリカンSUVとしての魅力を知ったのである。
他メーカーのSUVは、どのメーカーもSUVの形はしているものの、スポーティを全面に押し出して、まるで背の高いスポーツカーのような運転感覚をもたらすものばかりであった……。
たしかにそれはそれで楽しいかもしれない。だがそこに、あえてSUV乗る必要性は感じない。SUVの本質とは、スポーツ・ユーティリティ・ビークルである。SUVの荷室を削り、パワーを上げ、コーナリングスピードのみを強調する必要性はどこにあるのだろうか?
一方エクスプローラーは、他車とはまるで違う印象を与えてくれた。ボディは誰よりも大きく、室内空間も格段に広い。だからこそ、セカンドシート、サードシートの空間設計にも優れており、まるで日本製ミニバンのような空間アレンジの高さに驚いた。
走りに関しても、トルク重視の力強いエンジンをベースに、大きなボディだが剛性感高く、ステアリングの反応も正確かつ骨太。だからといってドイツ車的な硬質な乗り味とはならず、鷹揚とした足回りのセッティングが施されている。長時間高速道路を走るとわかるが、ゆったりとした疲れ知らずの快適さを持ち、全体的にわれわれが知っている「アメ車のリズム感」で満たされている。これはある程度の距離を走ったからこそわかる素顔でもあった。
モノコックボディや横置きエンジン&FF採用によって、初代以来続けてきたトラックベースを捨て、燃費向上に不可欠な軽量化とエンジンを搭載し、路上での快適性向上が図られた革新的アメリカンSUV。その第二章となる2016年モデルである。
リアビューは、フロントの変化ほどには変わっていない印象もあり、正直わからないくらいだったのだが、実際にはテールランプの形状が変更されているという
ボディサイズを生かしてセカンドシート、サードシートの空間設計にも優れ、まるで日本製ミニバンのような空間アレンジの高さが特徴的である。
そんなエクスプローラーの価値とは、たとえば対アジア戦略車といったワールドワイドな味付けのSUVとは異なり、リアルタイムのアメリカを反映している鏡であるということ。
現実的にアメリカ全土で走っており(売れており)、販売の中心的存在であるという事実。しかも重くて力強くといった旧アメリカンSUVの概念を根底から覆した革新的モデル。
すなわち、旧アメリカンSUV的なサイズ感は残し、伝統的なデザインスタイルを踏襲しつつも、ハンドリングや走行性を高め、フォードの技術を集約したダウンサイジングエンジンを搭載し、燃費効率を上げている。
そこには、仰々しいV8フィールは存在しないが、SUVたる走りを十分に満たしてくれるトルク感があり、街中で積極的に使える大きさをギリギリ満たしているサイズ感を有してドライバーを魅了する。それは本国でも同じこと。だからこそのトップセールスを記録しているのである。
2016年からデザインの変更を受けたボディ。強面系フロントマスクが特徴的で、性能面でも確実にアップしている。
こちらは2015年以前のデザイン。筆者的にはコチラのモデルに慣れ親しんだことと、デザイン面でも好みだったが、上記2016年モデルの実車に触れればその性能の高さに納得してしまう。
搭載されるエンジンは、2.3リッター直4エコブーストモデル。261ps、最大トルク42.8kg-mを発生させ、旧モデルに対してパワーで約7%、トルクで約15%向上している。
スタイルやサイズ感はアメリカンSUV的であるにもかかわらず、手に触れるすべての感触が軽く、扱い安い。普段使いから週末のキャンプや遊びに至るまで全方位で満足感高し。
一方で、日本製ミニバンの中でも最上級モデルたちと同等以上の室内空間を実現しているのだから、しかも重心位置が低くハンドリングや走りの安定感は極めて高いのだから、居住性および走りやスタイルを求める日本のユーザーたちに受け入れられて当然である。
くわえて駆動方式はFFだが、東京は雪もほとんど降らないし(年に2回あるかないか)、都市部にいる限り、オフロードもほとんどない。ある意味、ミニバンの代替わり的な使い方でもまったく問題はない。
とはいえ、かりに雪が降り、ぬかるむ道もまだまだあるかもしれない。そういう場合には、やはりSUVがいい。いや、都会の一般道でも高いアイポイントは運転しやすく、クルマ止めや坂でアゴをヒットすることもない。気軽に乗れるという点でもSUVが一番だと、個人的には実感しているのである。
だが。そんなエクスプローラーだが、フォードジャパンの日本撤退に伴い今では入手不可能である。いや、正確に言えば正規ディーラー車としての入手は不可能。並行であればもちろん新車の購入は可能だが、当たり前だがそういったモノはかなり少ない。なぜなら、購入者が限られるからである。
とはいえ、そんな状態でも朗報がある。そう、中古車ならまだ入手可能だし、まだまだ程度良好な存在が残っているから。
しかもディーラー車ベースの中古車であれば、現在存在している日本フォード撤退後に誕生したPCIフォード(http://www.ford-service.co.jp/)が日本各地に点在しているから、そちらで面倒を見てもらうことも可能なのである。
ということで、そんなエクスプローラーの中古車を取材した。取材車両はなんと2016年のディーラー車。
この2016年のエクスプローラーのD車は、非常にレアな存在。というのも2015年の10月に販売が開始された2016年型車は、日本フォード撤退と同時進行でマイナーチェンジが行われたモデル。
つまり、いざ買おうと納車待ちしていた方と撤退発表がほぼ同時期間に行われたために、そのまま購入された方とキャンセルされた方とに分かれてしまい、もともとの数が非常に少ないモデルなのである。
洗練された各部のフィーリングと先進的な液晶メーター等が真骨頂のインテリア。見た目にも、実際に触れても、非常に質感高く居心地の良い空間が構築されている。使用されている樹脂は、華飾は少ないが、質感の出し方が上手く、時が経ち中古車になっても鮮度が落ちていないのはさすが。
メーター類も洗練された液晶タイプ。
スイッチやつまみなどを極力排除して、各種操作をタッチパネルでおこなうマイフォードタッチだが、2016年モデルは、若干テイストと使い勝手を変えたことで、一段と洗練させたインパネになっている。
そんなモデルの走行2万9500キロ弱モデル。搭載エンジンはエコブーストでボディカラーは黒のインテリアがタンの組み合わせ。もちろんディーラー車である。
2011年に登場したエクスプローラーは、2016年でマイナーチェンジを行っている。主なポイントはエクステリアのデザイン変更と搭載エンジン及びミッションの変更である。
エクステリアは力強さを意識したフロントマスクに変更され、いわゆる強面系への進化が行われている。一方エンジンは、それまで2リッター直4エコブーストエンジンを搭載していたが、2.3リッターへと排気量アップを行い、組み合わされるミッションにはパドルシフトが装備されている。
パワーにして約7%、トルクにして約15%向上されている261ps、最大トルク42.8kg-mという新しいスペックがもたらされ、たとえばそれはちょっとした上り坂とかで、「もう少し加速しよう」と試みたときには圧倒的な力として「余裕」を感じさせるようなったのである。
正直、個人的にはエクスプローラーといえば、2011~2015年型までの丸みを帯びたスタイルが好きなだけに、また何度も試乗しているだけに、2016年以降にはほとんど興味がなかったが、実物を見ると「それほど気にならない」
また、実車は三列目シートのヘッドレストはいまだビニールがかけられており、新車時からのままを維持しており、使用された形跡はまったくない。驚くほどクリーンな状態を維持している。同じ中古車を購入するなら、断然この方がいいに決まっている。
2016年からシフトノブのボタン操作がなくなり、ステアリング裏のパドルにて変速操作が可能になっている。
ブラックボディにタンカラーのインテリアが新鮮。2015年まではグレー地のインテリアのみだった。
大人数を乗せるSUVではあるが、手荒く使用された形跡は皆無。この先長く乗りたい方には最高の個体ではないかと思う。
実際に走ってみると、まず、真夏の酷暑であったにもかかわらず、アメ車全般のエアコンの効きの良さに感激する。
それでいてエンジンパワーに影響を与えない排気量アップの2016年型は、より好ましく感じたし、新たに装着されたパドルの使い勝手がよく、それまでのシフトノブ横のボタン操作もそれなりに良好だが、ステアリングから手を離さない方が一段と良かった。
いわずもがなだが、現代のアメ車の中古車、さらにディーラー車ともなれば、納車前のPDIが如実に効いており、中古車としてのヤレも断然少ない。
もちろん、それなりにプライスに影響するわけだが、それでも本気で「この型のエクスプローラーが欲しい、そして10年くらい乗りたい」と考えている方には、物凄く良い個体ではないだろうか、と本気で思う。
販売元となるガレージダイバンは、マスタング等のフォード車を販売し整備も自社で行っているだけに、購入後のフォローも期待できるし、遠方で何かあれば既出のPCIフォードの存在もあるだけに、安心感が違うのである。
サードシートのヘッドレストは新車時のままのビニールに巻かれている。高年式の、さらに程度良好のエクスプローラーである。
ホイールも含めフルノーマルであることが非常に嬉しい。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES