2008年型のチャレンジャーSRT8である。搭載エンジンは6.1リッターV8HEMIで、425hp、最大トルク420lb-ftを発生させる。今となっては現行チャレンジャーのデビュー時のモデルであり、少々懐かしい感じがするデザインである。
だが、このチャレンジャーはそれだけに留まらない。なんと幌車。電動スイッチひとつでフルオープンになるコンバーチブルである。
ちょっと余談だが、これまで多数の年月、アメ車に携わってきた筆者が感じてきた最大の疑問のひとつが「なぜ現代版チャレンジャーにコンバーチブルが存在しないのか」であった。
たとえばマスタングやカマロにはコンバーチブルが必ず存在するし、そもそもアメ車のスポーティモデルにコンバーチブルは付き物だと常々感じていたから、「余計に何故なんだ」「あれば、絶対売れるのに」とずっと思ってきた。
けれど、ちょっと深読みすれば、「当時のクライスラーにコンバーチブルを製作する予算がない」とか「そもそも屋根を切るとボディがもたない」とか…etc、まあいろいろありそうだなということも想像はできた。
で、そんな中での取材車である。まずは止まっている姿を見て、「カッケー」と。さらに撮影に出かけた現場でカメラマンに向かい走る姿を見て「めちゃくちゃカッコいいー」の連呼。
恐くフロントウインドーとボディ全長および全幅のサイズ感のバランスが絶妙であり、それらすべてが渾然一体となった理想に近いコンバーチブルスタイルを作り出しているのだろうと思う。
たとえばマスタングだと、全長に対して全幅サイズが短いから細長い印象が強くなる。だから運転はしやすいが、見た目の迫力が若干足りない。
だが、チャレンジャーのコンバーチブルだと、全体のサイズ感による迫力が伴っており(フロントウインドーが短く見えるのがより素晴らしい)、昔よく見ていたドラマ『ナッシュブリッジス』で主人公がクーダのコンバーチブルに乗っていたのだが、それに近いザ・アメ車的な印象をもたらしてくれる。
くわえて、見慣れた感のある現代版チャレンジャーとは全く異なる色気を発していることにも気づくのである。
さて、このチャレンジャーのコンバーチブルだが、本国にてカスタマイズされたもの。ドロップトップカスタムズと呼ばれるビルダーに製作されたものであり、彼らは社歴41年のコンバーチブル製作集団として有名である。
なので、われわれがSNS上で数多く見てきているチャレンジャーのコンバーチブルとは、ほぼ十中八九このドロップトップカスタムズが製作したものだろうと思われる。
今回の車両は2008年車だが、もちろん現行最新のヘルキャット等での製作も可能であり、チャレンジャー以外にもキャデラックATS等の最新パフォーマンスカーでの製作も行われている。
ちなみに、彼らはコンバーチブルの製作集団ではあるが、コンバーチブル化した車両を販売しているわけではない。だから、欲しい場合は車両を用意して彼らに持ち込む必要がある。
今回の車両は、すでに製作されてあった車両をコンディションを現地で確認した上でガレージダイバンが直輸入したものであり、輸入に関して排ガス試験を改めて受けガス枠レポートを取得してまで輸入したもの。
聞けば、「クーペの6.1HEMIのガス枠はすでに存在しているのですが、コンバーチブル化したことで、幌車として新たに取得しないといけないのです」とのこと。そこまでしても入手すべき車両だったということなのだろう。
それにしてもフルオープンになった姿は見事なものである。美しいとすら感じる。しかもV8エンジン車でコルサのマフラーサウンドと伴って抜群の音色を轟かせ、屋根がないことでダイレクトなV8サウンドが響き渡るのである。
くわえて、ホイールは現行型のモデルが装備されているから、スタイリングの面だけでなく走りの面でも安心感が高い。
ということで、ちょっと試乗し実際にどんなものか、を試してみる。
まず、コンバーチブル化にともなって、ルーフが切られている。そしてクーペではハメ殺しになっているリアウインドーを電動で上下可能なようにし、リアシートとトランクスペースの閒に幌を組み立て収納できるようにする。もちろん、幌は電動である。あと、トランクスペースもちゃんとあるから心配ご無用。
幌に付くリアウインドーは当然熱線入りのガラスウインドーだから視認性も悪くない。幌の電動スイッチとリアウインドーの電動スイッチは、ドライバーステアリング左側下に設置され、ワンタッチで開閉可能になる。幌の見た目の工作精度も非常に高い。
当然ながら、ボディは補強されている。まずフロント部分にはエンジンルームにタワーバーを入れ、ボディ下面にスチールのクロスバーを張り巡らせ溶接でガッチリ固められている。
だから、日本の国道あたりで普通に走った限りでは、まったくの無敵。なんらミシミシガタガタせずに、気持ちよく走らせることが可能。少なくとも当日走らせた限りにおいては、そのネガを感じることは皆無だった。それに最高に気持ちいい。よく目立つし。
それともうひとつ。幌を閉めた状態でのスタイルだが、それも悪くない。というか、正直、純正のコンバーチブルと言われても遜色ないような、それほどの出来である。
もちろん、幌の耐候性に関しては不明だし、正直、日本の雨にどれだけ耐えられるかは微妙な部分もあるかもしれないが、それでも、そんな不安をも超越するほどの色気と魅力が、このコンバーチブルには存在する。
現行チャレンジャーの魅力のひとつは、間違いなくパワーだろう。717hp、797hpをみなが追いかける気持ちもわからなくはない。だが、こうしたパワーとはちょっとかけ離れた新たな魅力にも気づいて欲しい。正直、最新のヘルキャットよりもコンバーチブルのが断然素敵だと思ったほど。
現代のアメ車でカッコ良さを追い求めるなら、チャレンジャーのコンバーチブルは間違いなくトップ3にランクインするだろう。
なお、チャレンジャーコンバーチブルに関しては、ガス枠を新たに取得したガレージダイバンにおいて今後も直輸入可能であり、その他情報も数多く持ち合わせているため、確認してみるといいだろう。今回の車両なような中古車もあれば、最新の車両にてコンバーチブルを製作することも可能だから。
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