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[試乗記]

旧世代で一番希少な2012年型のV8コンバーチブル

2012 フォードマスタング GT コンバーチブル

新旧マスタングを多数取り扱うガレージダイバンにてD車GTコンバーを発見

旧型マスタングのV8コンバーチブルを取材した。モデル年式は2012年。当時のラインナップ中一番希少なモデルである。

更新日:2020.09.07

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ガレージダイバン TEL 03-5607-3344 [ホームページ] [詳細情報]

年式によるデザインの違いが明白

 この型のマスタングは2005年にデビューし2014年まで続いた旧世代モデル。1960年代の復刻デザインをベースに一躍大ヒットをもたらし、世界的な復刻デザイン車であるミニやビートルやフィアット500等と肩を並べるスター的存在となった。

 この旧型マスタングは最終2014年までの間に2度ほど大きなマイナーチェンジを施しており、実質3つの型が存在している。

 2005年から2009年までのデビュー型、2010年から2012年の中期型、そして2013年からの最終型である。

 デビューモデルとなる2005年から2009年までは、1964年に登場した初代マスタングのデザインをベースとしているが、2010年型ではデザインに大きな変更が加えられている。それは64年にデビューした初代マスタングが67年にビッグマイナーチェンジを受けたのと同じようにだ。

 2010年型のチェンジは、その67年当時のボディ&マスクを題材にしており見事旧時代を模した復刻デザインのリファインを行っている(=それが実に素晴らしいのである)。

 だが、この2010年から2012年時には、別のマイナーチェンジも加えられており、それが話をややこしくさせている。

取材車は2010年から2012年の中期型モデル。1964年生まれの初代マスタングが、1967年にマイナーチェンジを受けてリデザインされたのと同じ法則に則って、チェンジを受けている。

そのコンバーチブルモデルのディーラー車、しかもV8エンジン搭載となると極めて数が限られてくる。クーペのV8だとMTに乗りたくなるが、コンバーチブルだとATで十分に満足できる別の楽しさに満ち溢れる。

V8エンジン搭載のコンバーチブルは希少

 2011年に、デザインはそのままにエンジンと搭載ミッションの変更を行っているのである。

 というわけでややこしいのだが、人によってはこの旧型マスタングには4つの型が存在し、2005年から2009年までのデビュー型、2010年型、2011年から2012年の中期型、そして2013年からの最終型と、区分けするのである。

 ちなみに、2013年からの最終型でもマスクが変わっているが、それはトップモデルたるシェルビーGT500と同じマスクを取り入れており、復刻系デザインのマスタングとしては、初代から中期にかけての2モデルこそがオリジナリティあるデザインとして評価が高い、と言われているのであって、だから往年のマスタングに刺激を受けているファンは(筆者も)、初代から中期にかけての復刻マスタングに乗ることをあえて選ぶのである。

 というわけで、2012年型の取材車。ディーラー車であり、走行は約3.7万キロ。外装ワインレッドに内装ブラック仕様のV8コンバーチブルはまさにレアな一台。

搭載されるエンジンは、5リッターV8DOHC32バルブ。418ps、最大トルク53.9kg-mを発生させる。街中をゆっくり走らせることも、または圧倒的なスピードで峠道を駆け抜けることも可能な、パワーとフィーリングの持ち主である。

エンジンルームにまたがるブレースバーが、拡大したパワーを受け止め、車体の剛性アップにも一役買っている。

足回りは、ノーマルショックに約1インチのローダウン。ホイールにはLexani Twister22インチを採用し、独特のムードを発するコンバーチブルに仕上げている。

車内のロックを外し、ボタン操作約20秒程度で開閉可能な幌。耐候性の十分に考えられており、この時点で現行モデル同様の幌の質感を備えている。

400psを超えるV8パワーのサウンドの刺激的

 この車両が現役だった時代にさえD車のV8コンバーチブルは希少車だったにもかかわらず、今の時代に走行4万キロ以内の実車が見つかるとは。この型のマスタングにはそれこそ50回以上は乗っているが、中でもV8コンバーチブルが常に最高という記憶だけは確実に残っているから、久々の取材に期待が高まる。

 さらに2012年モデル。上記の通りマスタングには3つ(人によっては4つ)の区分が存在するが、その中期型。いわゆる旧マスタングを模した正統復刻スタイルということで、細かなこだわりなのだが、こだわる方にはわかってもらえるであろう年式なのである。

 さて、実車である。まずは2012年型マスタングV8コンバーチブル。約3万7000キロ走行のディーラー車ベース。

 ワインレッドのボディカラーがなんとも艶っぽく大人っぽい。この車両は基本フルノーマルなのだが、ボディ下部のブラック部分をボディ同色にペイントしているから、余計にまとまっている。

 またレザーシートの感触も心地良い。シートアレンジも容易く、常にフレンドリーな存在である。

 エンジン始動。そしてシートに座りセンターコンソール頭上のボタンを押し続ければ、約20秒もせずにフルオープンが完了する。

 ノーマルでも十分に野太いサウンドが室内に充満しつつ、発進。いつ乗っても思うが、この年式のマスタングの着座位置と視界の良さは特筆に値する。それにボディは相当にシッカリしており、ハンドリングも正確そのもの。この感触は今の時代に乗ってもまったく色褪せることなく、心地良い。

 とはいえ、なぜだがどこかに旧車っぽい雰囲気を感じさせるのがこの型のマスタングらしさ。それでも2012年モデルともなると、もはや現代車となんら遜色ないくらいの動的レベルであるのだから、逆に個性を感じさせる車両として、やはり面白い存在である。

左右対称のダッシュボードや3本スポークのステアリングホイール、T字型のシフトセレクター等、各部のディディールは初代マスタングの伝統に則ったデザインがもたらされている。

搭載される6速ATとエンジンのマッチングも良く、シフトに装備されるボタン操作にて大きな動作を必要とせず、小刻みな変速操作が可能となり、優雅に走らすことができる。

メーターパネルのバックパネルの色を125色から選べる「MyColorイルミネーション」と、照明の色を7色から選べる「アンビエント・ライティング」等、その凝りようは素晴らしい。

歴史に残る名車の一台

 くわえて400psを越えるパワー感は素晴らしく、だらだらと走ることが可能である一方で、信号ひとつ分をワープするかの如きロケットダッシュを決めることだって可能である。

 しかもハンドリングが安定指向で、右足に軽く力を込めるだけで即座に反応するV8ともマッチしており、ひと回り以上軽いクルマに乗っているかのような錯覚を起こすほど軽々走る。

 それでいて乗り心地はまあまあ良く、ドタバタした衝撃がほとんどないしなやかな足さばきも嬉しい。同時にブレーキフィールも一般走行程度ならビクともしないほどしっかりしている。

 取材日は台風9号、10号真っ只中の最中で晴れたと思った瞬間に豪雨がきたりとめちゃくちゃ展開の速い一日だった。そんな中でもオープンにすれば気持ちよく、暑いが最高に心地良い。サイドウインドーを立てれば、ほとんど風の巻き込みはなく、めちゃくちゃ気持ちいいドライブが可能だったし、雨が降れば即座に電動幌にて対応できた。

 この型のマスタングであれば(特にディーラー車なら)、幌の耐候性もかなり高いから、それこそ一台でいろいろとまかなえる。エアコンの効きも良いので年中オープンにすることだって可能だろう。

 なんてったって屋根のない明る感じがステキだし、クルマに乗るという感覚と遊びで乗る遊園地的な乗り物の感が同時に体感できて、毎日通る同じ道のりの風景が確実に変わる。

 それにこの年式のマスタングなら、最新の機能をもった旧車テイストな雰囲気をも持ち合わせており、とにかくフィールが最高で、クーペとコンバーとでちょっとでも迷うなら、絶対にコンバーチブルを選ぶべきである、と思うのである。

 しかもこの車両は、前オーナーが70歳の紳士であり、加齢による安全性の担保により左ハンドルを諦め、右ハンドルの300Cに乗り換えた方。すなわち、アメ車好きによる丁寧な維持が重ねられてきた個体だっただけに、状態の良さがわかりやすい。

 同時に、販売しているのがガレージダイバンであって、この型のマスタングを初期の頃から販売している実績を持っているため、整備を含めたアフターフォローにも確実な信頼がおけるのである。

シンプルなセンターコンソールだが、この車両の特徴は、とにかくキレイなコンディションであるということ。中古車としては一番大事な部分が非常に優秀ということだ。

シートは、バケットタイプのスポーティなものというよりは、ゆったりした掛け心地をもたらすラグジュアリー的な雰囲気を感じさせる。レザー張りの質感も非常に高い。

街中の一般走行時でも非常に心地良い。V8エンジンの野太いサウンドも気持ちよく、オープンで走ることの楽しさが凝縮されている。着座位置も低すぎず、だからボディ外寸の感覚がつかみやすいから、いつでもどこでも気持ち良く走らせられる。

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