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[試乗記]

6.4リッターV8搭載のモパー系マッスルSUV

2015 ジープ グランドチェロキー SRT8

フルサイズSUVからの乗り換え組増殖中

マッスルSUVファンから、さらにフルサイズSUV乗りから支持されるグランドチェロキーSRT8を取材した。

更新日:2021.05.12

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ブルート TEL 0489529260 [ホームページ] [詳細情報]

中古車市場販売ベスト3に入る人気車

 エンジン始動時の猛烈なエキゾーストサウンド、攻撃的なデザインフォルム、ゴツい握りの抑揚が効いているステアリングなど、決してオフを走るジープブランド車とは思えないグランドチェロキーSRT8。

 ブルートでは、過去これまでに多くの車両を扱ってきており、当サイトでも何度か扱ってきた。そして再び取材したわけだが、その理由は、いま現在、人気のSUVベスト3に入っているから。

 要するに中古車市場で人気であり、キャデラックエスカレードに次ぐ人気車種となっている。それもそうだろう。上記したようにめちゃめちゃ個性的だから。

 現在の中古車市場は、人気車種の売れ行き好調で個体が少なくなり、それにより同時に価格がどんどん上昇している。だが、そうは言っても売れない車種は全く売れず、である。逆に売れている車種は個性的な車両。例えばエスカレード、ジープラングラーといったもの。

 グランドチェロキーSRT8も早々に売れる車両というが、実際にはエスカレードやラングラーほどの個体数はないから目立たないかもしれない。が、販売車としては「あれば売れる」と言われるほど動きが早い。

オフをイメージさせるジープらしくなく、野性的なフォルムをまとったマスク。フロント正面から見た強面感は圧倒的であり、特にフロントマスク、ヘッドライト周りの造形が変わったことにより、一層凄みが増している。

2015年型、3.3万キロ走行の個体。全体的なコンディションは良好。

「あれば売れる」人気の理由は2つ

 で、その人気には二つの理由がある。一つが、マッスルSUVであるということ。

 例えば、クーペ&セダンベースのマッスルカーが多いアメ車ではあるが、ことSUVになるとマッスル系モデルは非常に少ない。パッと思いつく限りでは、当該車両の他ダッジデュランゴぐらいしかない。

 グラチェロSRT8は、ディーラー車ベースである個体がほとんどであるから(二列シート&5人乗車で納得できるなら)、そうした安心感も加味されるのだろう。

 で、もう一つの理由が、以前にも書いたが、フルサイズモデルに散々乗って飽きた方やフルサイズの大きさに疲れた方が、ミドルサイズにサイズダウンをしてきたということ。

 だが、そうは言ってもエスカレードからいきなり普通のグラチェロへと乗り換えるとランクダウンと見なされるだけに、それまでのラグジュリアーSUVからグランドチェロキーの上位グレード、しかもマッスルSUVへと乗り換えることで、「違った魅力を味わう」との言い訳も成り立つということである(笑)

搭載されるエンジンは6.4リッターV8HEMIで、468ps、最大トルク63.6kg-mを発生させる。フルサイズSUVよりも約300kg軽く、50psパワーが多いのだから、速さは言わずもがな。好きな人にはたまらないはず。

オフロードのグランドチェロキーからは想像がつかないインテリア。チャレンジャー&チャージャーSRT系の意匠によく似ているインパネの雰囲気だが、実際に座るとその印象を超えるタイトなフィーリングに感動する。

8速ATを小刻みに操るならパドルシフトが使用可能。このクルマにはパドルがよく似合う。

乗ればこのクルマの魅力が一瞬にしてわかるだろう。いわゆるマッスルSUVの瞬発力とハンドリングに感動するに違いない。

その動力性能はいまだ超一流

 とはいえ、実際に乗り換えると、そのほとんどのオーナーさんはびっくりするらしい。「めちゃくちゃ良い」と。

 元エスカレードオーナーもびっくりするその性能こそ、グランドチェロキーSRT8の真骨頂であり、世界に誇れるマシンなのだ。

 搭載されるエンジンは6.4リッターV8HEMIで、468ps、最大トルク63.6kg-mを発生させる。このエンジンで0-60mph(約100km/h)までの加速はわずか4.8秒、ゼロヨン加速13秒台中盤と、当時の世界中のSUVの中でもダントツの数字であった。

 ちなみに、キャデラックエスカレードに搭載されるV8エンジンは426hpを発生させる。しかも車重はSRT8比で約300キロ重いから、確かに速さ部分で考えれば、SRT8に全く敵わないわけである。

 その他、SRT-8専用のエクステリアには各部にエアロが装着され、車高をダウン、エアダクトがただならぬ雰囲気を醸し出す。足元にはブレンボ製ブレーキ(F6ピストン、R4ピストン、ローターはF15インチ、R13.8インチ)と20インチホイールを装着する 。

2014年から搭載された8速ATは、小刻みな変速を繰り返しV8エンジンの性能を余すことなく発揮させる。また、燃費向上にもつながるだろう。

300キロまで刻まれたメーター類。質感や視認性は高く、メーターからもただならぬ雰囲気を感じさせる。

ホワイトボディにキャメルカラーのダコタシートの組み合わせ。シートはバケットタイプのレザーで硬めの乗り心地。タイトなフィールでスポーティそのもの。

3列シートに同エンジンを搭載したデュランゴは1000万円を超える。一方、SRT8はディーラー車ベースの2列5人乗車。それでも十分使える。

ジープらしくないSUV

 一方インテリアは、クロームパーツとカーボン素材を組み合わせたスポーティなもの。ピラーにはスエード布が貼られ、高級車としての質感も圧倒的に高い。シートは、ホールド性に優れたSRT-8専用のバケットシートが奢られる。

 冒頭にも記したが、極太のステアリングを握り、この専用のバケットシートに座るとSUVに乗っているという感じが全くしない。というか、スポーツカー系の刺激的な印象を与えてくれ、この部分の印象は、正直、ダッジチャレンジャーやチャージャーといった本場物よりも確実に勝っている。というか、この印象を超えるスポーティなアメ車はそうはないだろう。

 てか、それにしてもジープらしくないSUVである。スターターボタンを押した瞬間に重低音サウンドを轟かせ、極太ステアリングと硬質なシートがSUVであることを忘れさせる。

 しかも走り出した瞬間のガチガチな硬質感。だがそれをまったく苦にしない強固なボディが与えられている。これまで複数のアメリカンSUVに試乗してきたが、これほどの感触はフルサイズSUVでは味わえない、ちょっと想像を絶するマシンである。

 だから、ちょっとでもグラチェロSRT8のことを知っていて、実車を見て、そして触れてしまうと、多くの方がその時点でノックアウトされてしまうというわけである。

 ちなみに、ディーラー車ベースであるから右ハンドル仕様となるが、現在のラングラー同様右ハンドル車だからこその違和感やネガティブな面は全くないから、安心していい。

 ということで、SRT8の人気の秘訣はハッキリしており、この凄みが欲しければ現状SRT8しかないわけであるが、最後に中古車市場における個体の注意点について聞いてみた。

ほとんど使用感のなかったセカンドシート。それ以外の荷室等にも中古車感がほとんどなかったのはさすがのディーラー車ベース。

本文中にもある弱点と言われるインテリアのリアルカーボンパネル。助手席のコンソール前の部分がご覧のように割れる。ちなみに、正規ディーラーにてパーツのみ約8万円するという。

ブルートでは、ご覧のように他パーツにて修復した個体もあるといいい、様々な対応をしている。

エンジンが魅力な個体だけにエンジンの性能にこだわる

 「まず、車体としての完成度は非常に高いのですが、一つ内装に関する注意点があります。内装各部に貼られているカーボンパネルですが、リアルカーボンなんです。その助手席のコンソール前に貼られているパネルがほぼ十中八九割れるのです。

 野外駐車による室内温度の上昇やパネルの貼られる湾曲部分の圧とか、いろいろ理由があると思うのですが、そこは弱点として購入時に説明させてもらっています。もしくは弊社で他パーツにて張り替えて納車した車両もあります。

 また、仕入れ時には、走行距離やエンジンの異音等のチェックを欠かさずに行っています。走りの部分が目立つ車両ですから、正直、個体によっては手荒に扱われたであろう印象を与えるものも少なくありません。

 絶対数が少ないだけに、あればある程の値がついてしまうほどの人気車なのですが、弊社ではそうした動力系のチェックを徹底しており、厳選された車両のみを扱っています」

 これまでにも複数台数の販売を行っているブルートだからこそ知る中古車としての弱点。だが、そう言った部分を知るだけに、販売されている個体はそうした中身をクリアしたものであるから、それだけでも安心感が違うと言えるだろう。

 今後も人気は続くであろうSRT8だけに、程度良好な一台を早めに入手するのが賢明だろう。

これまでの販売から、車両のコンディションチェックや弱点、さらには仕入れに関する注意点を教えてくれたブルートのマネージャーを務める岡崎氏。人気車ゆえにエンジンのコンディションに注意が必要という。

ブルートは、外環自動車道「三郷西IC」を降りたすぐ真横に広大な敷地を構える。直近の在庫車の中心はフルサイズSUVであり、ご覧のハマーH2やエスカレードが所狭しと居並ぶ。そんな中で、唯一と言っていいミドルクラスの人気車がグラチェロSRT8なのである。

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