キャデラックといえばエスカレード、エスカレードといえばブルートと言えるほどキャデラック系の展示在庫車を持つ専門ショップ。
そんなブルートに、今、新世代キャデラックのSUVが並んでいる。そう、XT6やXT5である。
聞けば、数年前からミッドサイズ系SUVの販売も手掛けており、例えばグランドチェロキーLやグランドチェロキーSRT8などがそれにあたり、キャデラック系においてもXT6やXT5を積極的にラインナップしているという。
ちなみに、キャデラックエスカレードは未だ販売の中心であり(旧型から最新に至るまで)、「個体の入荷→即売」が続いている状態というから、エスカレードファンのみならず、ひと回り小さいキャデラックファンにも照準を合わせて行こうという試みである。
もしくはエスカレードではデカ過ぎるという(ファミリー)層へ向けた新たなる提案とも言えるだろう。ということでXT5とXT6を取材した。
その前に、最新のキャデラック販売車について説明すると、キャデラックエスカレードを頂点に置いたピラミッドが形成されている。
最高峰のエスカレード、そしてセダン系、SUV系と別れ、セダン系は全てFRベース、SUV系は全てFFベースとなり、今回の題材となるSUV系にはXT6、XT5、XT4がラインナップされる。
ちなみに2025年からセダン系、SUV系にもう一つEV系の柱が増えることになっている。
ということで、まずはXT5である。
XT5は、それ以前に存在したSRXクロスオーバーの後継モデルとして2017年にデビュー。ボディサイズ全長×全幅×全高=4825×1915×1700ミリだからいわゆるミッドサイズだが、隣にあるXT6と比較すると一回り小さいという印象だ。
くわえてデザインも当時のCT6の影響を受けた縦系ヘッドライトに大型グリルを構えた固有のもの。ボディラインは鋭角を基調とするライン構成で、サイドラインやリアテールに至るデザインが当時のキャデラックデザインを象徴している。そしてデザインと共にSUVとしての実力もかなり高い。
言ってしまえば、XT6の性能があるのはベースとなるXT5の性能があってこそである。
XT5の前身であるSRXクロスオーバーからボディ全体が刷新され高剛性ボディと軽量化が行われ、シャシーも新設計され、搭載されるエンジンも最新のものが与えられる等、すべてが進化している。
なので走り出した瞬間から既存のアメリカ車的感覚とはまるで別物であることに気づくはず。
搭載されるエンジンは、3.6リッターV6で314ps、最大トルク368Nmを発生させ、トランスミッションには当時最新の8速ATが与えられる。
駆動方式はFFベースの4WDでモードセレクト機能付きであるから、状況に応じて前後だけでなく、左右後輪のトルク配分を変化させることが可能である。
一方、室内は2列シート5人乗車のオーソドックスなSUVタイプ。だが、2列目シートはスライド&細かな調整が可能なリクライニング機構付きであるから、非常に快適な2列目空間が得られるだろう。
同時に、3列目シートがないからリアの荷室容量が非常に大きい。2列目シートは40:20:40分割可倒式で、すべて倒せばフルフラットな荷室が現れる。
カタログ数値的には5人乗車時で約850リッター、後席をたたんだ状態で1784リッターを実現するから、乗車人数やボディサイズにさほど制限がないという方には非常に有意義なSUVになるに違いない。
くわえてキャデラックというブランド品に相応しい室内空間を持っているのだから満足度は高い。
現代的なエレガンスとクラフトマンシップに基づいた独自の世界観を構築し、取材車のグレードは最上級のプラチナムだから非常にゴージャス。セミアニリンレザーが用いられ、ウッドとアルミを用いた装飾トリムが見事調和している。
ミッドサイズとはいえ、日本の道路事情を加味すれば適切サイズとも言えるだろう。さらにキャデラックブランドとしての品格が詰め込まれていることによって独特の魅力を発しているのである。
スタッフの関さんいわく「小さいキャデラックと思うかもしれませんが、デザインやインテリアの質感に独自性があり、走りの評価も非常に高い一台です。2列シートの5人乗車モデルですが、リアシートを広く使うことが可能ですので若い方からファミリー層まで対応可能だと思います」
取材個体は、2018年型走行3.9万キロモデルであったが、プラチナムだけあって室内空間が高級感に溢れ、キャデラックらしい品格の持ち主であった。
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