我々が憧れた旧時代のダッジチャレンジャーとは1970年&1971年モデルのことを指すから、たった2年間のみ存在したモデル。
だから現代版チャレンジャーを製造し続けるためには、さほどカタチを変えずにバリエーションを増やしていくしかなかった。
そうして生まれたラインナップの一つが「T/A」である。
T/Aとは、当時のレースに参加するためのホモロゲーションモデルであり、「Trans America」の略称である。
しかしこのT/A、実際のレース成績が伴わずワークス参戦も初年度のみの一年限定となってしまったのだ。が、後にたった一年のみ存在した伝説のマシンとして称えられたのだ。
で、そういう過去の逸話を持つマシンを当時積極的に復活(もしくは名前を使用)させてきたダッジは、2017年にダッジチャレンジャーT/Aを登場させた。
当時のベースとなるグレードは、R/Tの5.7リッターV8とSRT392の6.4リッターV8HEMIであり、可能な限り過去のT/Aを彷彿とさせるデザインと装備で満たされている(392ベースのみ「T/A392」と表記された)
この現代版T/Aには、サテンブラックのボンネットフードとフードピンが装備されており、ルーフやリアデッキリッドもブラックで統一されている。もちろんサイドストライプもブラックである。また標準よりも1インチ大きいモパー製20インチホイールもブラックで統一されている。
一方ヘルキャットに装備されていたヘッドライト横のエアスクープがT/Aにも採用されており、アクティブエキゾーストシステムと同様に吸排気系にチューンが施されている。とはいえパワー数値に変化はないが、固有の装備としては嬉しい限りである。
ちなみに、旧時代のT/Aは一年限りの伝説のマシンであったから、現代版のT/Aも一年限りと思いきや、否。実際には2018年までの2年間存在し、2019年からラインナップ上から消えた。
だが、ラインナップ上からは消えたが「T/A」パッケージとして残っており、いわゆるオプション装備として「T/A」を制作することは可能だった!
日本には2017年〜2018年当時のT/Aの中古車を見かけることは多々あるが、それ以降の年式のT/Aがあまり存在していないのは、本国でT/Aパッケージを装着した車両があまり出回っていないこととリンクしている。
聞けば、「T/Aパッケージは結構高価なオプションであった」というから、あえてチョイスした本国オーナーがすぐに売りだしたりしないのだろうとの推測は可能である。
ということで、取材個体である。2021年型R/T T/Aパッケージ。走行1.5万キロの個体である。
R/Tだから5.7リッターV8エンジン搭載の8速ATモデルで、ボディカラーは流行りのグレーカラー(スモークショー)。ボンネットフードのブラックとのマッチングが非常に良く、グレーの良さが際立った印象である。
また各所のコンディションも非常に良好でクリーンな個体と言えるだろう。
ちなみにチャレンジャーに関しては、これまでに数え切れないほど取材した経験があるが、今回のT/Aもそれら過去の経験から大きく外れることのないものだった。
特にT/Aとしての加飾がすべての満足感を高めてくれる。そしてやはり何度見ても現行チャレンジャーのデザインは素晴らしい。この秀逸なデザインだけでもいまだ「買い」だし、T/Aとの組み合わせが加われば一段と魅力が増すと感じるのは筆者だけではないだろう。
2021年というから、コロナ禍で全体的な生産台数が少ない年式だしT/Aだし・・・・・、前回も言ったが、自分にとっての最高のR/Tとして是が非でも入手すべき一台だと思う。
さて、ちょっとした報告を。これまで数多くの車両を紹介してきたが、チャレンジャーに関しては在庫車がそろそろ底をつくかもしれない。
筆者は毎月のようにショールームの展示車両を見てきて、フロア一面に展示されている数々のチャレンジャーの中古車を見てきたが、ここ数ヶ月どんどん売れていき、今や残り5台となっている。
正確には、じきに一台加わるということだから計6台になるが、それでもその後の入荷の予定は未定という。
「今現在、ヘルキャットが1台、R/Tが2台、V6が2台の計5台です。のちにスキャットパックが1台加わる予定です」とBCDスタッフ。
現時点でアメリカからの輸入は非現実的であり、国内仕入れでも一時期に比べ売却希望のユーザーが減っているというから、短期的な保有者の売却が終わり長期保有のユーザーが多くなっているということなのだろう。
「当然、この先も仕入れは続けていく予定です。ですが、これまでのように定期的に展示車両を増やすというのはちょっと難しいかもしれません」
言わずもがなだが、程度良好なチャレンジャーを入手したいなら、急いだ方がいいということだ。
283,800円
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