TEST RIDE

[試乗記]

たった2年のみ存在した初代モデル

1966 ダッジチャージャー

硬派なフロントマスクと優雅なファストバックの絶妙なバランス

現代まで続くダッジチャージャーの初代モデルを取材した。

更新日:2025.08.31

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

初代ならではのクラシカルな雰囲気

 フォードマスタング、シボレーカマロ、ダッジチャージャーと言えば、現代に続くマッスルカー。その先陣を切ったのはマスタングで、続いてカマロ。そしてダッジチャージャー登場へと続く。

 そんな流れを抑えつつ改めて、60年代にマスタングが築いたスペシャルティカー市場に向けてシボレーカマロが登場。そして1966年、ダッジチャージャーがデビューする。

 ちなみに、「チャージャー」を「充電器」と思っている方がいるかもしれないが、それは間違い。正確には「軍馬」を表す意味でチャージャーが使用されている(辞書にも記載されている)。

 で、マスタングやカマロはコンパクトサイズであったが、チャージャーはそれより一回り大きいインターミディエイトサイズのダッジコロネットをベースに開発されている。

▲初代チャージャーはインターミディエイトサイズのダッジコロネットをベースに開発されている。

▲ボディはファストバックスタイルの2ドアモデルで、初代においてはイメージ以上に高級感が漂っている。

 ボディはファストバックスタイルの2ドアモデルで、当時のエンジンバリエーションは318cuinのV8を標準に、ビッグブロックの383cuin、426HEMIが存在。

 だが。デビュー2年後の68年に早くもモデルチェンジを行い第二世代が始まる。端的に言えば、当時の評価があまり高くなかったから。マスタングやカマロを追い越すことができなかった。だから、とっとと世代交代を行いテコ入れをしている。

 そしてそのテコ入れが大成功。いわゆる現代に続く「ヒールの愛車」としての立ち位置は、初代をベースに改良を加えた第二世代が得たものだ。

 そんななか、BCDで取材した66年型チャージャー。いわゆる初代モデルである。それにしても何度か取材したことのある旧時代のチャージャーにおいて、ここまで原型をとどめている個体を見たのは初めてである。

▲1962から1976年までのダッジで使われていたロゴがチャージャーにも貼られている。

▲搭載されるエンジンはビッグブロックの383cuinV8で、エンジン関連には日常使いを可能にするほどの手がすでに入っている。

▲キャブレターはエーデルブロックで、その他点火系や燃料系、熱対策を中心とした作業の手が入っている。

 ちょっと大きめのボディサイズに当時としては近未来的なデザインを得たチャージャー。フロントマスクはヒドゥンヘッドライトで悪っぽさを漂わせつつ、ボディ中心以降のなだらかに傾斜を描くファストバックスタイルの流麗さ。優雅さといってもいい。

 確かに、68年以降が持つシャープなボディの印象はまだこの初代型には見られない。が、それでも当時のアメ車が持つデザインの高級感や美しさがこの初代には宿っている。

 個人的には、このなんとも表現しがたいクラシカルな雰囲気こそが初代チャージャーの最大の魅力だと思っている。

 同じファストバックでも、当時のマスタングは前後左右のバランスが取れた均整プロポーションと言えるだろう。一方で、チャージャーのファストバックスタイルは、フロントリアとのバランスがアンバランスにも見える。だがそれこそがダッジチャージャーらしくていいとも言える。

▲フロントマスクはヒドゥンヘッドライトで悪っぽさを漂わせる。

▲ボディ中心以降はなだらかに傾斜を描くファストバックスタイル。

▲リアテールライトはターンシグナル点灯時にセンターから左右端に向かって流れるように光るシーケンシャルシステムを採用。

 取材車のドアはガチっとしており、ドア下がりなどは感じさせず、ボディの状態の良さ、そしてインパネやシートは懐かしい風情だが、シートに座ればステアリングやインパネ、シフト等の位置具合が一発でキマるのはさすが。くわえてエンジンも一発でかかり周囲を驚かせるとともに不安定な要素は微塵も見せない。

 搭載されるエンジンはビッグブロックの383cuinV8で、エンジン関連には日常使いを可能にするほどの手がすでに入っている。キャブレターはエーデルブロックで、その他点火系や燃料系、熱対策を中心とした作業の手が入り、日本における一般乗車を十分に可能にするほど機関系は安定している。

 また、ヒドゥンヘッドライトの動作は確認済みで、リアテールライトはターンシグナル点灯時にセンターから左右端に向かって流れるように光るシーケンシャルシステムを採用している等、固有のデザイン的魅力が味わえる。

 一方で、室内メーターにはレーシーなカスタムメーター類を設置し、ビッグブロックV8を生かす走りの雰囲気を漂わすのはいかにもチャージャーらしい。ボディ同色のスチール製ホイールもこのレーシーな雰囲気に合わせたものだ。

 また座席は4座で今風に言えば2+2ということになるのだろうが、リアシートには大人が乗っても普通に過ごせるだけのスペースが有してあり、日本なら4座クーペとしても通じるだろう。

 くわえてセンターコンソールにより左右がセパレートしているデザイン的な魅力もある。

▲メーター周りに手が入っているが、それ以外では当時の雰囲気を感じさせる状態良好のインテリア。

▲シフトは3速ATが搭載される。

▲レーシーな6連カスタムメーターが装備されている。

 BCDスタッフいわく「過去に何度かチャージャーを販売している中で久しぶりの60年代モデルです。市場では68年以降が圧倒的に有名ですが、今はこの初代の価値も高く、滅多に見つかるものではありませんから、探していた方がいましたら是非一度現車を見ていただきたいです」

 知っている方はたくさんいると思うが、コロナ禍以前のBUBUビンテージにはマスタング以外の著名なモデルの販売車がたくさん並んでいた。だが、コロナ以降仕入れが難しくなりマスタングに絞った仕入れが行われていたという。

 だが、今年に入り積極的な仕入れを展開することで、再びマスタング以外のビンテージモデルがたくさん輸入されるようになっている。今回取材したチャージャー以外にもコルベットC3やポンティアックグランプリ、フォードフェアレーン500 etc

 そんな中で久々のダッジチャージャーということで、BUBUビンテージの名に恥じない個体レベルを維持しているのは言わずもがな。そして68年以降がなくしてしまった「美しさ」を求めるならば(それでいて71年以降が無くしてしまったパワーを持っている)、この初代チャージャーは一見の価値アリだと思う。

▲コンソールのエアコンスイッチ等に当時の面影を感じる。

▲ドア内張りの状態も悪くない。

▲コシのあるシート。4座とも状態は相当いい。

▲日本人なら4座クーペとして使えるだけのスペースがある。左右がセパレートしているデザインが面白い。

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