職業柄と言ってしまえばそれまでだが、今村氏というのは、かなり特殊なパターンのアメ車ファンであるのは間違いない。
もっともこれは筆者の様な職業の人間にも共通する部分であり、例えば筆者は自分の愛車とは別に、新型車がデビューする度にメーカーの広報車を借りて乗っているし、取材で様々なアメ車に乗る機会も多い。もちろんチョイ乗りしただけではオーナーさんレベルの事までは理解できないが、それでも分かる事は多いし、好きになるアメ車は枚挙に遑がない。また、当然ながら様々なモデルを乗り比べるからこそ分かる部分もある。
そういう意味で言えば、一定期間とはいえ自分の愛車として使用する経験を積み重ねている今村氏のアメ車に対する認識は、ことアメ車に限っては我々編集者やモタージャーナリスト以上と言えるかもしれない。
ある意味、筆者のような専門誌のジャーナリスト以上の経験を積んでいる今村氏だが、現在の愛車としているSRXクロスオーバーに関しては、一体どんな感想をお持ちなんだろうか? 氏が考える現行SRXの○と×とは?
「初代と比べてクルマ全体の造りが明らかに良くなっています。とくにインテリアの仕上げは良くなっていますね。3リッターV6エンジンは、初代モデルの4.6リッターV8や3.6リッターV6と比べると小排気量になっていますが、直噴化されたこともあり性能的には全く見劣りしません。必要にして十分というか、特別パワフルという感じはしませんが、不満も感じないというレベルです。燃費は7〜8km/1Lといったところですが、ガソリンがレギュラー仕様になったので、初代よりもかなり経済的になってるのもポイントが高いと思います」
「全般的に進化しているので僕自身はとくに不満に感じるポイントはないんですが、お客様の中には3列シートから2列シートになった事をマイナスと感じる方もいらっしゃるようです。ただ、初代モデルのサードシートは決して広くはなかったし、クルマとしてのキャラクターや取り回しなんかを考えると、僕自身はSRXは2列シートが適正だと思います」とのこと。
さすがにアメ車のプロフェッショナルだけに、今村氏が現行SRXに抱く感想というのは、実は筆者の評価とかなり近い。
通常のオーナー紹介とはかなり掛け離れた内容になってしまった今回だが、脱線ついでという事で、最後に今村氏に、ディーラーの社長としてではなくオーナーの立場から現行SRXクロスオーバーのセールスポイントを語ってもらった。
「現代のキャデラックというのは、ひと言で言えば世界に通用する高級車です。SRXに限らず、今のモデルは古くからの日本のアメ車ファンが思い描く『キャデラック』のイメージとはかなり違うと思います。でも、昔からキャデラックに乗り続けてきた僕には、現代のキャデラックにもキャデラックの精神が確実に受け継がれているのが分かる。時代に合わせて進化し変化しても、失われていない部分というのは確実に存在します。ボディやエンジンがダウンサイジング化された事のみに執着して『今のキャデラックはキャデラックではない』と決めつけるのは勿体ないと思います」
「SRXクロスオーバーで言えば、排気量は3リッターでガソリンはレギュラーです。新車購入時の保証は3年または10万kmで、延長保証の制度もある。信頼性にしろ維持費にしろ、3リッタークラスの国産ミニバンと大差ありません。それでいてアメリカが誇る最高級車である『キャデラック』に乗れるんですから、今は本当に良い時代だと思いますよ(笑)」とのこと。
今回は通常のオーナー紹介とはかなり異なる内容になってしまったが、現代のキャデラックに多少なりとも興味のある方には、少しは参考になったのではないだろうか?
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