フルサイズバンの世界にも当然ながら、コンバージョンモデルは存在する。しかし、ここで紹介するレーストラックオリジナル「ダッジラムR」は、「カーゴバン」をベースとした完全ワンオフ製作。
カーゴバンとは、商業用モデルのことで外観はもちろんのこと、室内の装備もほとんど無い仕様である。そのことを頭に入れてこのクルマを見ると、その凄まじいカスタムに驚かされるはずだ。すでに10年以上前の車両となるが、現存し、未だ現役であるということにも驚きを隠せない。
迫力のスタイリングを生むボディ全体にはバイキングのエアロが使用されている。しかし、フロントに関しては、スポーティなデザインが特徴のレーストラックオリジナルバンパーに変更されている。しかも、オーバーフェンダーに対応するため、バンパー幅に加工が施されている。
結果、重厚なフロントマスクからオーバーフェンダーへ一体感のあるラインを成形しているのである。ちなみに、フロントバンパーに埋め込まれているドライビングライトは、ダッジデュランゴ等にも使用される、レーシーなものである。
また、さらなるレーシーなスタイリングを強調させるため、足元はアメリカンレーシング767ホイールで決め、マフラーは左右片側ずつのデュアルサイド出し。タイヤサイズは、フロントが255/60‐15、リアが275/60‐15。さらにオーバーフェンダーとツライチになるよう、オフセットをワンオフ製作している。
そのコダワリが、フェンダーギリギリまで張り出した迫力の足元を演出しているのである。
一方、マフラーは出口にボーラのカーボンを装着し、それ以外のキャタバックをワンオフ製作している。左右デュアルサイド出しを実現させるため、パイピングの取り回しには苦労したそうだが、出来上がりのサウンドを聞けばその苦労も報われると、自画自賛。
見てのとおり、背面スペアタイヤではないので、スペアタイヤはボディ下に釣り下げられている。しかも、ショートボディのためリアのオーバーハングが極端に短く、パイピングに際しスペアタイヤをほとんど移動させることができないのである。
そうした状況で、デュアルサイド出しを行なうため、ギリギリまでスペアタイヤを後方にズラし、マフラーからの熱対策としてマフラーとスペアタイヤの間に耐熱壁を設けているのだ。
レーストラックといえば、足回りのセッティングに定評があるが、当然、ラムRにもレーストラックオリジナルの足回りが与えられている。
フロントは、ショートコイルとショックを組み合わせ、オリジナルスウェーバーで固めることで1.5インチローダウンされている。さらに、リアの足回りもコイルとショックで固められいる。
市販されているショックの場合、強化タイプと言えども、デカバンに装着するとどうしても柔らかく感じてしまうという。その柔らかさを払拭するために、減衰力をオリジナル設定し、さらに強化ブッシュを装着することで、理想に近い足回りを実現させているのである。特に今回の場合、ベースがコンバージョンということで重量的な問題も考えなければならない。そういった点を踏まえた足回りである。
実際に走ると、ダッジRの足回りはレーシーというよりもマイルドで乗り心地に優れる仕上がり。ピッチやロールを適度に抑え、コーナリングでの不安を全く感じさせることなく、3トン近くもある巨体を難なく走らせる。個人的には、余分を動きをしっかり抑えつつも、硬過ぎない感じが素晴らしいと感じている。しかも、デカバンでありながらも、乗用車感覚でドライビングできる足回りのセッティングは、さすが「R」といったところである。
上記のダッジラムRにはまったく関係ない話だが、右記のラムバンは現在入院中であり、トランスミッションの修理というか、カスタムの最中である。
このラムバン、V6エンジンを搭載した3速ATのラムバンなのである。これまで我慢し続け、日本の道路で3ATを使い続けたが、もうどうにもならず、遂に4速ATへの載せ換えを決断し、今現在作業中である。
ところが、当時V6+3AT、V8+4ATという組み合わせはあれど、V6+4ATは実在しない。なので普通ならV8+4ATのシステムをまるごと載せ換えてしまおうという(ショップの意思で)意見が出るはずなのだが、さにあらず。「動力性能はV6のままでも十分に楽しいし、これまでの思い出もある」というオーナーさんの意向を重視、そして試行錯誤。
結局、V6に4ATを載せることなったのである、さすが!
カスタムというのは、「単なるパーツのポン付けではない」とは高橋氏の口癖だが、まさしくそんな言葉を具現化した渾身のカスタム。
現状では、エンジンと4ATユニットを組み合わせるところまで終了し、次なる試練となるATの電子制御部分に手がつけられている。ちなみに、CPUには、ダッジダコタで使用されている(V6+4AT)ものを流用し、セッティングを開始しているというから、凄い!
余談でしたが、この2012年においてもまだまだダッジラムを楽しんでいるオーナーさんがたくさんいる、ということを知って欲しいと思い、お知らせした次第です。
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