往年のスタイリングを見事、現代的アレンジのもとに完成させた現行マスタング。その2011年モデルの特徴は、完全に生まれ変わったエンジンにある。ほぼ新開発といわれるほど、パワーアップを果たしているのだ。2010年モデルでもスタイリング的にはすでに完成の域に達していたし、シャシーも古典的ではあるがパワーに見合ったある意味完成型であった。しかしエンジンだけが……。つまり、この新開発のパワーユニットをもって、新型マスタングの最終型とも言えるのである。
新たに搭載されたV6エンジンは、4リッターSOHCから3.7リッターDOHCに、V8エンジンは4.6リッターOHVから5リッターDOHCへとそれぞれ進化を遂げている。排気量が下がったV6だが、ツインカムヘッドと「Ti-VCT」と呼ばれる吸排気独立制御の可変バルブタイミング機構によって4リッター時代には210HPだった最高出力が、新型3.7リッターではじつに305HPまでパワーアップ。
一方5リッターへ排気量アップとなったV8も、シリンダーヘッドが伝統のOHVから同タイミング機構を備えたDOHCに変更されたことで、315HPから412HPへと大幅なアップを果たしている。
もちろん、この2011年モデルの場合も、ASDNが扱うマスタングにはLEDウインカー内蔵の可倒式ドアミラーや本国仕様に準じたテール、スペシャルレザーシートをはじめ、3年6万キロの保証も健在である。
さて、ここに登場しているマスタングは、その2011年モデルのSSコブラパッケージである。外装にレーシングストライプやヘッドライトスプリッターを追加し、内装ではコブラ刺繍入りのスペシャルレザーシートを装備。ベース車輌はV8、V6問わずどのグレードでも選ぶことが可能である。
ここで紹介しているコブラパッケージは、V6ベースにストライプやヘッドライトスプリッターの他リアウイングを装備し、現在街で見かけるマスタングとはひと味違う存在感を発しているのである。
聞けば、このパッケージで367万2000円とのこと。これは現在正規ディーラーで販売されている2011年モデルのV6プレミアムの新車・430万円よりも断然安い(ちなみにプレムアムベースのSSだと403万2000円だがそれでも安い)。それでいて長期保証もあり、しかも特別仕様の11年モデル。決して煽るわけではないが、普通に考えて、パワーが上がり、年式も新しく、しかもオリジナル度が高いにもかかわらず価格が安いとなれば…、どちらがいいかは言わずもがなだろう。
ASDNでは、他にシェルビーGT500のスタイルを身にまとったマスタングを「SS GT500」として発売しており、新型マスタングの選択肢が俄然増えてきているのである。
グレーに塗られた「V6クーペ」の運転席に座り、キーを捻る。エンジンはいとも簡単と目覚め、V6ならではの軽快感と比較的野太いサウンドが室内に充満する。このクルマの主役はボディでもなければ、シャシーでもなく、エンジンなんだということを一瞬にして悟らせるだけの存在感。心地良いレザーシートの位置を調整し、6速ATの滑らかな操作性に感動しつつ、いざ発進。
走り出して気付くのは相当の力強さである。街中を流している時は、それほど違いを感じることはないが、ちょっとペースを上げたければ、アクセルペダルに乗せた右足に軽く力を込めるだけで即座に反応する。そりゃそうだろう、V6と言えども300HP超。ちょっと前まで遡れば、280馬力規制があった国産ハイパフォーマンスカーをいとも簡単に凌駕しているのだ。アクセル操作に対するレスポンスも良く、1000rpm台ですら気持ちいいレスポンスを見せ、思いのほか扱いやすいことに驚いた。それでいて高回転域までDOHCユニットらしく鋭く吹け上がる柔軟性をも見せる。
「アメ車はV8、V6はパワーがなく面白みに欠ける」という一部の偏見を、いよいよ改めなくてはならない時がきたようである。
乗り心地も相当現代的になっており、それこそ一般走行時には安楽なサルーンと思えるほど快適。ゴツゴツした衝撃とは無縁であり、相当マイルドな当たりになっている。サスペンション自体は硬めでありながらも、突っ張るようなぎこちなさは消え、非常にしなやかに足が動いているような感触である。そのぶんロードホールディング性も高まっているだろうから、パワーアップしたエンジンを支える足腰として、シャシーは相当に腕を上げた感じである。
V6モデルは、持ち前のパワーとシャシーのバランスの良さを生かして、それこそ街中から高速までをいつ何時でも全開で楽しめるスポーツカーである。そしてこのSSコブラパッケージでは、外装にレーシングストライプやヘッドライトスプリッターを追加しオリジナル度を高め、オーナーの満足度や所有欲を満たしてくれる。
あくまで個人的な意見だが、V6を購入してフルに楽しんで、飽きたらターボやスーパーチャージャーでパワーアップを試しながらさらに楽しむ、なんてことを考えれば、V8に勝るとも劣らないファンなマスタング生活が長く安価に送れるような気がしてならないのだが、いかがだろうか?
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