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[試乗記]

高年式のヘルキャットは数が少ない、ワイドボディはさらにレア

2020 ダッジチャレンジャー SRT ヘルキャット ワイドボディ

メーカー純正の717hpには金額以上の価値がある

年々取り扱い数が減っているヘルキャットの高年式、しかもワイドボディが入荷。早速取材した。

更新日:2021.11.26

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

常に羨望の眼差しを向ける存在

 例えばチャレンジャーの中で「一番魅力的なモデルは何ですか?」と問われたら、間違いなく6.4Lエンジンを搭載したモデルと答える。しかも個人的な好みを加えれば、「6.4LスキャットパックT/Aの6MT車の新車」と断言する。

 もし本当に買うなら、ノーマルボディとワイドボディとで迷うだろうが、それでも6.4Lは絶対に外せない。そのくらい良く、価値があり、アメ車醍醐味満載だと思っている。

 ただその一方で、常に羨望の眼差しを向ける別の存在がいるのも事実。そう、ヘルキャット。

 個人的には、「大排気量V8NAエンジンの魅力こそ最強」と思い続けているからこその6.4Lモデルなのだが、スーパーチャージャーを装着したマッスルモデルに興味がないわけではない。

 もし「6.4Lかヘルキャット、どちらかあげる」と言われたら、正直めちゃめちゃ迷うだろうし、実際に無尽蔵の資金があるならば、普通にヘルキャットを買っている(かもしれないが、現実的には6.4Lですら四苦八苦するだろう)

 すなわち、6.4Lこそ最強とは言いつつも、そこにはどこかでブレーキをかけている(資金的に無理という理由で)自分がいるからであって、あえて6.4Lで納得させようとしているのかもしれない、と取材車を見て思ってしまった。

 だから要するに、6.4Lモデルが良いのは承知の上で、行けるなら当然ヘルキャットへも行くべきと改めて思うし、実車を見ればその気持ちもわかってもらえるはず。

▲ヘルキャット自体が数が少ないのに、さらにそのワイドボディともなるともっと少ない。そんな個体の3800キロ走行だからまるで新車のようなコンディション。

▲サテンブラックにペイントされたデュアルシュノーケルフードが特徴。

個体がかなり少ないヘルキャット

 今年も例年通り、色々なショップに取材に行っているが、そのどの店舗においてもヘルキャットを見ることが少なかった。個人的には、「高くて買う人がいないのだろう」と思っていたが、否。ただ単純に入荷していないだけ。

 もっと言えば、アメリカでもヘルキャット自体の生産数が少なく、取り合いの状態になっているという。ただ、なぜだか「レッドアイは数がある」とも言われているから、メーカーの策略により一番高いモデルの生産数を増やしていたからなのかもしれないが、いずれにせよヘルキャット自体の数は少なく、中古車人気と相まって数が少ない=日本へもなかなか入ってこないという流れらしい。

 あと、ヘルキャットエンジンは、デュランゴやラムやグランドチェロキー等にも使用され、各ジャンルの最強モデルとして君臨しているが、そうしたエンジンの使用関係上、レッドアイの生産が増やされている可能性は高い。

 だが、個人的には、そうした他車に流用されているからこそ、ヘルキャットエンジンの耐久性が高いとも思っており、このレベルであれば本気で10年10万キロ以上を安定して走り続けることが可能だと思っている。

▲搭載されるエンジンは6.2LスーパーチャージャーV8。元々707hpであったが、2019年から717hpにアップしている。とにかく十分に速い。

▲デュアルシュノーケルフードの片側はエンジンルーム内のエアクリーナーに直結している。

▲サテンブラックにペイントされたデュアルシュノーケルフード。向かって右側はエアクリーナーに効率よくエアを流し込んでいる。

717hpでも十分に速い

 ということで、こうしてヘルキャットを見るのはざっと10か月ぶりくらいである。

 ちなみに、個人的にはヘルキャットもヘルキャットレッドアイも、どちらも素晴らしいと思うし、買えるならレッドアイがいいとは思うが、正直、そのレベルになると「どちらでもいい(笑)」と言ってしまえるほど差はないと思っている。

 実際には、「717hpと797hpとで80hp違うじゃん」と言うかもしれないが、ハッキリ言ってそのレベル差を体感したことがないからわからないとしか答えようがない。

 過去にヘルキャット707hpのMT車で2速フル加速からの3速シフトアップを何度か経験したが、それでもバケモノ的加速で十分な速さだったし、それ以上のパワーがあったとしても使いこなせる感覚は微塵もない(笑)

 しかもヘルキャットとレッドアイの価格差が200万円超ということを鑑みれば、(出せる人はレッドアイへ行くべきだが)ヘルキャットで十分だし、ハッキリ言ってそれでも死ぬほど速いから満足できるはず。

▲ワイドボディ専用の305/35ZR20インチタイヤ。ヘルキャットレッドアイのタイヤサイズと同じ。要するに797hpを制御できるだけのパフォーマンスを秘めているということならば、それをヘルキャットの717hpであれば、若干でも余力が残り安全性が担保できるのではないかとも考えられる。

▲エンジンブロックが塗られているオレンジと同様のオレンジカラーをブレーキキャリパーにも使用している。

▲基本的なインテリアの雰囲気は他のチャレンジャーと同一だが、細かく見るとメーターカラーが違い、パドルのサイズが違い、パワステの軽さ等も違う。

メーカー純正の717hpには金額以上の価値がある

 一方で、例えば6.4Lと6.2ヘルキャットとの同じ年式での価格差が200万円超あったとしても、その価格差には納得できる。仮に6.4LV8の485hpのパワーや最大トルクを717hpまでチューニングでアップしようとしても、恐らく200万円では済まないだろうから。

 その200万円差には、エンジンのみならず足回りやブレーキといった変化も含まれているわけだから、普通に考えて無理だろうし、仮に挑戦してもエンジン系のトラブルを誘発する可能性は免れない。やはりメーカー純正の717hpには金額以上の価値があるのだ。

 だが、ヘルキャットとレッドアイのパワー差での200万円超であれば、その差にはレッドアイの希少性といった価値の部分の金額も含まれている可能性があり、個人的にはどうしても納得できない部分があるから迷う(でも資金に余裕があるならレッドアイは唯一無二だけに行くべし)。

 ということで、6.4L以上のモデルに乗り換えを検討するならば、ヘルキャットで十分であり(個人的意見)、迷うならヘルキャットのノーマルボディかワイドボディか、であると考える。

 今回取材した個体は、そんなヘルキャットの2020年型のワイドボディ。走行3800キロと、まるで新車のような個体である。

 ヘルキャットは2015年にデビューし、その頃はまだ707hpだったが、2019年からレッドアイが加わった関係で717hpにアップ。その際にデュアルシュノーケルフードと呼ばれるパフォーマンスフードが装着されるようになっているから、取材個体はまさに717hpのデュアルシュノーケルフード装備車であり、しかもワイドボディである。

▲ご覧のパドルシフトのサイズ感が異なる。具体的にはサイズが長くなっている。

▲メーター内のカラーリングが異なっているが、これだけでもハードな印象をあたえてくれる。

▲元々優れたシートが搭載されているチャレンジャーだが、レザーのバケットタイプになり性能はそのままに高級感が増している。

数の少ないヘルキャットのワイドボディ

 これまでにレッドアイのワイドボディは何度も取材しているが、ヘルキャットのワイドボディは初。とはいえ、外見は同一だからその差は全くないのだが、なぜだかヘルキャットと聞くだけで落ち着く。

 が、実際に日本におけるヘルキャットのワイドボディはかなり希少である。さらに6.4Lモデルのワイドボディとの差もデュアルシュノーケルフードで歴然なので、ヘルキャット以上のモデルに乗っているという満足感にも浸れる。

 しかも、ホワイトボディにブラックサテンにペイントされたフードが似合っており、オールブラックやオールホワイトのヘルキャットとは一線を画すマッスルカー然としたスタイルに包まれるのも好ましい。

 今や数の少ないヘルキャットだけに、しかもさらに数の少ないワイドボディだけに、すでに問い合わせ多数ということだから、探していた方は急いだ方がいいだろう。

 何度も言うが、個体の状態は言うまでもないから、あとは貴方の懐具合次第である。

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