TEST RIDE

[試乗記]

オフロード走行、オープン走行、そしてピックアップトラックの新三種の神器

2021 ジープグラディエーター ウイリススポーツ

これほど趣味性の高いモデルはこの世に存在しない

旧時代のジープとオフロード車の雰囲気を融合し、その上、荷台が付いた素晴らしき趣味車・グラディーターを取材した。

更新日:2023.10.04

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

ラングラーをベースにした唯一無二のピックアップ

 純粋なピックアップトラックはめちゃくちゃカッコイイ。それがアメリカンピックアップともなれば、ボディは大きく迫力があり雰囲気も満点。

 だが一方で、その迫力や雰囲気は認めつつも、敷居の高さを感じる場合も多いと聞く。純粋にデカイ。毎日使うにはやっぱりね・・・。だからか日本ではピックアップ人気はあるものの、実際に売れるのはSUVだったりする。
 
 が、そんな方々にも人気を博した存在がSUT。いわゆるSUVとピックアップトラックが合体したアメリカ特有のジャンルである。

 過去にはエスカレード、ナビゲーターをベースにしたものや、アバランチ、エクスプローラーにもSUTがあり、実際に日本でもかなりの数が売れていた。

 そんなSUTは、ベースがSUVであるから走行性能や居住性がSUVのままであり、そこにピックアップのショートベッドサイズの荷台が付いたものであるから、日本における使い勝手は言わずもがな。

▲2021年型ジープグラディエーターのBCD車両。走行1.1万キロ走行車。

▲2021年に登場したグラディエーターのウイリススポーツ仕様。よりジープの雰囲気が高まったモデルである。

 だからそれがミッドサイズSUVベースであれば、くわえてベースとなるSUVが人気車であれば日本で受け入れられる可能性は高い。

 そう、だからジープラングラーをベースにしたSUT、ジープグラディエーターの日本における人気は俄然高い。

 ちなみに、このグラディエーターは2020年にデビューしているが、そのコンセプトモデルは2005年に発表されている。が当時は「2ドア+ショートベッド」のコンセプトモデルに仕上げられていた。

 さらにラングラーには過去、ピックアップ風なモデルが存在していた。その名をスクランブラーという。

 が、実際にはスクランブラーは、1981年以降に登場したCJ-7のロングホイールベースバージョンのCJ-8だった。

 CJ-7のホイールベースを10インチ延ばし、オフロード性能とレジャー的な使用を可能にした、ジープの中ではちょっとした異端児的モデルではあったが、実際には使用範囲が広く人気もあった。

 ということで、スクランブラーはあくまでジープでありピックアップではなかったのだが(リアのカバーを外せば「ピックアップに見えた」というだけなのだが)、上記のコンセプトカーと連動して、ラングラーのピックアップモデルが次第と熱望されていったのである。

▲2005年に登場したコンセプトカーは「2ドア+ショートベッド」のコンセプトモデルに仕上げられていた。

▲スクランブラーは、CJ-7のホイールベースを10インチ延ばし、オフロード性能とレジャー的な使用を可能にしたCJ-8。リアの幌カバーを外すとピックアップ風に見えた。

▲2020年に登場したグラディエーター。外見も走りもあくまでジープ。5人乗車の居住性も魅力。

 そしてラングラーがJL型へと進化し、それをベースとしたSUTのグラディエーターが、コンセプトから15年後の2020年に登場した。

 グラディエーターの基本ボディは、JL型のラングラーをベースとしフロント先端からフロントドア部分に至るまではラングラーと同一。それ以降のリア部分を31インチ延長し、ホイールベースも19.4インチ延長して製作された。

 だから、パっと見はラングラーに見えるが、実物の印象はまったく違う。そこが既存のSUTとはちょっと異なる部分である。

 簡単に言えば、ラングラー4ドアモデルの後席までの空間は同じだが、リアの荷台はショートベッドというよりはそれよりも若干長いサイズのベッド幅になっている。それに合わせてホイールベースを延長しリアタイヤが後部に移設されていることでスタイルの印象が全く異なるのだ。

 だから既存のSUTはSUVベースにショートベッドが付いたデザインであったが、グラディエーターはホイールベースを延長させ上手くバランスを保ったデザインにしているから、ちゃんとピックアップトラックになっている!

▲搭載されるエンジンは3.6リッターV6で、285hp、最大トルク260lb-ftを発生させる。

▲外径32インチのホワイトレターマッドテレーン17インチタイヤが装着される。

▲ラフカントリー製のショックが装着されているから、オフロードの走りの性能も高められている。

 とはいえ、その走りはラングラーだし、SUT的なカッコを優先したピックアップではなく、同時にいわゆるアメリカンピックアップトラック特有の「いかにも」感もない。

 あくまでラングラーをベースとした唯一無二のピックアップトラックとしているところが超新鮮である。

 しかもリアの荷台にはオフロードバイク2台、あるいはカヌー2艇を積めるだけの積載スペースがあり、また最大で約3470キロまでの車両を牽引する能力もあるから、たとえばボートやジェットなどの乗り物からキャンピングトレーラー等を引くことが可能である。

 くわえて走破性を維持するために最低地上高やアプローチアングル、デパーチャーアングル等は確保されており、水深も30インチ程度なら侵入可能という。

 こういったグラディエーター特有の能力が確保されているにもかかわらず、4ドアラングラーとしての居住性がほぼ失われていないのが最大の魅力である。

▲本国純正の左ハンドル仕様による自然なドライビングが可能。

▲6速マニュアル仕様だが、クラッチ操作は想像以上に楽なので、全く問題ない。

▲ラングラーに準じたオープン走行が可能。最高!

▲個体はレギュレーターによるウインドー操作というオールド仕様。

 このボディに搭載されるエンジンは、JLと同様の3.6リッターV6ガソリンエンジンで、285hp、最大トルク260lb-ftを発生させる。それを8速AT&6速MTで駆動させる。乗員定員は5名である。

 ちなみに取材車はBCDが自社流通にて直輸入したBCD車両であるから、本国アメリカ仕様の6速MTモデルである。走行1.1万キロのBCD車両。

 よって直輸入ならではの左ハンドル車が自然な感じに満ちており、6速MT仕様の扱いもアメリカ的で超絶楽。エンストを防ぐアンチストールや坂道発進のヒルスタートアシスト付きだから、何ら扱いに不安を難じる必要もない。

 くわえて個体は2021年に登場したウイリス・スポーツだからフロントグリルがブラックアウトされ、外径32インチのマッドテレーンタイヤが装着される等、オフロード色を強めたモデルとなっており、よりジープの雰囲気が高まっている。めちゃくちゃカッコイイ。

 ちなみに、ラングラー同様ルーフの脱着は可能だから、ジープのオフロードを楽しみ、コンバーチブル的なオープンエアも楽しめ、そしてピックアップトラックのような荷台まで付いているわけだから、これほど趣味性の高いモデルはこの世に存在しない、と言い切っても良いだろう。

▲5人乗車でリアの居住性もしっかり確保されている。

▲リアシートをたためばラゲッジスペースが現れる。

▲アシストグリップも標準装備。

 さて、この個体はBCD車両であると記したが、ということはBCDオリジナルの購入プランが使用可能である。60プランである=車両本体価格の60%が3年後の下取り金額として保証される。

 また取り扱うBCD横浜店は、グラディエーターに搭載されているエンジンと同機のチャレンジャーやチャージャーをワイテック2.0を使い数多くメンテナンスしている経緯もあり、当然グラディーターの整備に関しても慣れているからアフターに関する心配もない。

 もっと言えば、BCD=光岡自動車の関連会社にはジープラングラーの正規ディーラー店もあるから情報入手もお手の物というわけである。

▲ウイリススポーツはフロントグリルがブラックアウトされている。

▲コーティングが施されたベッドの使い道はそれこそ無限大。究極の趣味車となってくれるだろう。

▲パープルにペイントされたバッジ類は本国にて施されたもの。

▲昨今ランクル人気、特に70の復活に拍手喝采だそうだが、そうした方々にもアピールしたいオールドスタイルな雰囲気をも持ち合わせているのがグラディーターである。

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