TEST RIDE

[試乗記]

ベルエアーに入庫した最新グラディエーターの「スポーツS」

2019 ジープグラディエーター

使いこなせばそこらのSUVよりもはるかに多くの夢を与えてくれる

新型ジープラングラーのピックアップトラックモデルとして発表されたグラディエーターは、アメ車ならではのエッジな存在だ。

更新日:2019.12.19

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/ベルエアー TEL 0436265700 [ホームページ] [詳細情報]

4つの販売グレードだが直輸入には偏りがある

 昨年フルモデルチェンジを実施したジープラングラー、通称「JL」型には、そのピックアップ版たるグラディエーターの登場が控えていた。2020年型ジープグラディエーターである。販売グレードは「スポーツ」、「スポーツS」、「オーバーランド」、「ルビコン」の4種類。

 グラディエーターは、今のところ正規導入の予定はないから、日本に数あるアメ車ショップが独自に直輸入しているのが現状である。そんな中、ベルエアーがグラディエーターを上陸させた。

 モデルは2020年型ジープグラディエーター 「スポーツS」と「スポーツ」の新車である。赤いボディが「スポーツS」で黒が「スポーツ」になる。両車の違いは装備の違いであり、基本ボディに大きな違いはない。

 すでに日本各地には直輸入されたグラディエーターが見られるが、その多くが「ルビコン」。たしかに「ルビコン」はいいが、購入総額700万円越えとなる価格がネックだと思う。

 一方、この「スポーツ」系だと600万円台で購入できるから、「どうしてもルビコン」というなら別だが、「スポーツ」で十分、という方も多くいるはずだから、選択肢が広がることは良いことだろう。

コチラのグレードは「スポーツ」。いわゆる下位グレードになるが、基本装備は付帯しているだけに、この先「手を加える前提」であれば、逆にこのグレードがいいという方もいるだろう。

ラングラーの4ドアモデルに荷台が付いた感じだが、ホイールベースの延長で上手くバランスが保たれたデザインになっており、恐ろしくカッコ良く、迫力がある。

メーター類は、液晶とアナログメーターを融合させた独自なもの。視認性も良く、質感も良いから、ドライバーの満足感も非常に高い。

フロント部分からドア部分に至るまではJLラングラーと同一であるが、それ以降のボディ後部を31インチ延長し、ホイールベースも19.4インチ延長して製作されている。

一時期流行ったSUTとは明確に一線を画す

 グラディエーターの基本ボディは、JL型のラングラーがベースであるから、フロント部分からドア部分に至るまではラングラーと同一。それ以降のボディ後部を31インチ延長し、ホイールベースも19.4インチ延長して製作されているから、パっと見はラングラーに見えるものの、実物の印象はまったく違う。

 簡単に言えば、ラングラーの4ドアモデルの後席までの空間は同じで、その後のスペースが荷台になった感じ。だが、ホイールベースを延長させ上手くバランスが保たれたデザインになっているから、デザイン的にはしっかりピックアップトラックになっている。

 とはいえ、一時期流行ったSUT的なカッコだけのピックアップではないし、同時にいわゆるアメリカンピックアップトラックの、「いかにも」感もない。あくまでラングラーのピックアップトラックとして使えるところが新鮮。

ピックアップ版となったとしてもラングラーの走破性は維持される。

最低地上高やアプローチアングル、デパーチャーアングル等は確保されており、水深も30インチ程度なら侵入可能である。

搭載されるエンジンは、3.6リッターV6ガソリンエンジンで、285hp、最大トルク260lb-ftを発生させる。余談だが、MTミッションも用意されているということだ。

最新ホイール、KMC XD137の20インチを装着。ボディカラーとのコンビネーションも良好。

4ドアラングラーの機能は失われずに

 しかも後部の荷台にはオフロードバイク2台、あるいはカヌー2艇を積めるだけの積載スペースがあり、また最大で約3470キロまでの車両を牽引する能力もあるから、たとえばボートやジェットなどの乗り物からキャンピングトレーラー等を引くことが可能である。

 また、走破性を維持するために最低地上高やアプローチアングル、デパーチャーアングル等は確保されており、水深も30インチ程度なら侵入可能である。

 こういったグラディエーター特有の能力が確保されているにもかかわらず、4ドアラングラーとしての居住性がほぼ失われていないのが嬉しい。

 このボディに搭載されるエンジンは、JLと同様の3.6リッターV6ガソリンエンジンで、285hp、最大トルク260lb-ftを発生させる。それを8速AT(6速MTもある)で駆動させる。乗員定員は5名である。

 一方インテリアは、メーター類が一新され、センターにはアップルカープレイ&アンドロイドオート対応の8.4インチタッチスクリーンディスプレイが装備される(「スポーツS」と「スポーツ」とではタッチスクリーンのサイズが異なっている等の違いあり)。

室内の質感は、かつてのジープの面影は微塵も感じさせない、最新ジープのそれであり、直輸入ならではの左ハンドルの自然な感じがさらにいい。

センターには8.4インチタッチスクリーンディスプレイが装備される。

上記「スポーツ」とこの「スポーツS」とではメーター内の液晶表示が若干異なる。

アウトドア的マシンに育てるか、もしくは逆に思いっきりアーバン仕様に持っていくか。どう仕上げるかは貴方次第。

ホイールを換えるだけでも印象が激変

 室内の質感は、かつてのジープの面影は微塵も感じさせない、最新ジープのそれであり、直輸入ならではの左ハンドルの自然な感じがさらにいい。是非、多くの方に触れていただきたい逸品である。

 また、ベルエアーの赤いボディ「スポーツS」は、すでにホイールが20インチのKMC XD137に交換されているから、インチアップされた見た目の印象が激変しており、これはこれでお似合いである。

 さすがラングラーベース、ということなのだろうが、ホイールを換えるだけでもこれだけ印象が異なるわけだから、購入後の楽しみ方、仕上げの方向性はそれこそ無数にあるだろう。

 いまの日本のファッションブームは「ミリタリー」と「アウトドア」の二本柱が牽引していると言われていて、世のアウトドア嗜好とミリタリー好きの両方を満たす存在がジープなのである=街中でジープ系車両を見かける数が日に日に多くなっているのは、きっとそのせいもあるのだろう。

 なかでもグラディエーターは、街中で見かけるラングラーとも一線を画すピックアップトラックであり、荷台を上手く使いこなすことができるなら、それこそラングラー以上のインパクトを街中に発することができるに違いない。

シートは布仕様の装備。基本着座位置等はラングラーに準じるものの、動かすとホイールベースが長くなっている分、違いが明確に分かる。アクティブに使いこなすなら布地で十分という印象だ。

リアの居住性は、荷台を作ることでスペースが犠牲になっていることは皆無だから4ドアラングラーとして使え、さらにプラスαで荷台が付いたわけだから、ファンカーとしての価値は非常に高い。

後部の荷台はオフロードバイク2台、あるいはカヌー2艇を積めるだけの積載スペースであり、また最大で3トン以上の物体を牽引する能力がある。

森でキャンプをし、川でカヌー遊びをする。その荷物を満載にし、野山を越えて川の浅瀬を通過。こんな旅ができるのも、ジープベースのグラディエーターならではだろう。

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