C4コルベットが発売されてから実に13年ぶりのフルモデルチェンジ。満を持して登場したC5コルベットの基本コンポーネンツはデビュー以来変わらず、ロングノーズ&ショートデッキという外観に、ハイパワーFRというスタイルを踏襲している。
C5コルベットは、実は開発過程でミッドシップ化が真剣に検討されていた。しかし、アメリカ人のユーザーは「ロングノーズ、ショートデッキこそコルベット」という意識が強く、こうしたマーケティング調査を踏まえ、改めてフロントエンジン、リアドライブのレイアウトを採用したという事実がある。だからこそ、C5の完成度が低いはずがない。
C5コルベットの開発テーマは「本格的スポーツカーとしてのパフォーマンスを持ちながらも、デイリーユースに耐え得る乗り心地や快適性を持たせること」だった。つまりC4コルベットで得たネガティブな評価部分を改善し、改めて世界レベルのスポーツカーを作ることを目標にしたのである。このためディメンションを見直し、全面的な改良を受けることになった。
ちなみにC4とC5のディメンションを比較すると、全長が72mm長い4555mm、全幅が67mm広い1870mm、全高が44mm高い1230mm、ホイールベースが212mm長い2655mmとなっている。この長くなったホイールベースこそがC5コルベットの圧倒的な乗り心地の良さを実現している。
C4:4483×1803×1186(ミリ)
C5:4555×1870×1230(ミリ)
※余談だが、C4コルベットのサイズが今となってはかなり小さいことに気付く。そしてC4には別の意味での楽しさが詰まっている。
また、C5コルベットではトランスミッションをデフと一体化させたトランスアクスル方式を採用し、車体重量配分を50対50に近づける工夫がなされている。これは、前後重量配分を適正化してトラクションを稼ぐために世界の一流スポーツカーが使っていたのと同じ方式である。このトランスアクスルは、室内空間の拡大という副次的な効果をも生み出し、これによりまたひとつ、C4のネガティブな部分が解消されていった。
C5コルベットに搭載されたエンジンは、新開発5.7リッターOHV V8のLS1エンジン。これはシボレー初のオールアルミエンジンでパフォーマンスはC4を上回る345ps/5600rpm、トルク48.4kg-m/4400rpmを発生する。このエンジンは1400kgを越えるC5を0〜400m加速、13秒台前半で走ることを可能にしたのである。
これを支えるシャシーはC4同様の前後ダブルウィッシュボーンに、リーフスプリングの組み合わせ。C4では10数点からなる部品を組み合わせて作られていたフレームは、1点モノへと改められ、非常に高い剛性を確保している。そのため、足回りの取り付け剛性なども高まっていて非常に高い操安性を確保している。
写真は2000年に登場したZ51。正規モデルにおいてはATのみだったC5コルベットに、6速トランスミッションとパフォーマンスサスペンションを装備した走り系のモデル。アメリカンV8をMTで操る! そんな経験が出来たのは、正規モデルとしてはマスタングコブラをおいて他にはなかった日本のアメ車市場において、待望のMTモデルである。加えて、初期のZ51にはマグネシウムホイールが装着されているなど、今考えてもかなりのお宝C5だった。
Z51は2002年モデルからホイールがマグネシウムからアルミに変更されているが、この年からクーペ、Z51ともにエンジン出力が向上し、クーペで355ps、最大トルク49.8kg-m、Z51が355ps、最大トルク51.8kg-mとなっている。
アメ車独特の圧倒的なトルク感をMTで楽しめ、さらに世界の一流スポーツカーと肩を並べるだけの実力を備えているC5コルベット。C5は現在、価格的にも相場的にもこなれていて、そして性能的にも、オススメ中古車であることは間違いないが、その中でもZ51は、生涯最後の大きな買い物として、すべてのアメ車ファンにオススメしたい中古の1台である。
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