アメフェスでカーショーと並んでいつも楽しみにしているのが、やはりドラッグレースだ。走行距離400メートルの全開競争。10秒ちょっとでケリがつく単純明快なレースは、見ていてスカッとする。もちろん参加したらスカッとどころじゃない気持ち良さだろう。
ところが、今回はそんな参加者&レポーターの気持ちに水を差す事態が。なんとレースで使う計測器が動作不良を起こしてしまったのだ。で、結局今年のドラッグレースもタイム計測ナシ。レースではなくデモンストレーション走行になってしまった。じつはアメフェスのドラッグレースは、昨年も雨&クリスマスツリー(シグナルのことです)の動作不良で不完全燃焼なイベントとなっていたのだ(来年こそは、ぜひ…)。
このようにノントラブルとはいかなかった今回のドラッグレースだが、参加者のパフォーマンスは相変わらずの高さ。むしろ安定感と言うか、安心して観戦を楽しめるという意味では、以前よりレベルが上がっている気さえした。
数年前には何台かコースアウトするクルマもあったのに、富士の路面に慣れてきたためか、今年はみんな綺麗にアスファルトを蹴っ飛ばしていく。今年は雨も降らず、また参加者のモチベーションも良い感じだったようなので、なおさら計測器トラブルの悔やまれるイベントとなってしまった。
さて、いつもアメフェスでドラッグレースを取材していて、「これはプレスの役得だよな」と強く感じているのが、観客席より遥かに間近、スタートのすぐ側でドラッグレースを拝めることだ。トップフューエルともなるとスタンドから眺めていてもひっくり返るくらいの迫力だが、ここからだともう、臨場感のケタが違う。
そんな場所でドラッグレースを観戦してきたレポーターから観客の皆さまにひと言。レースでは派手なバーンナウトやカッ飛んでいくマシンは勿論、レーサーやクルーなどといった「人の動き」にも注目してほしい。とくに分かりやすいのが、レーサーの仕種が外から見えるバイク。そこに注目して見ると、緊張感がまるで違うのだ。
エンジンの調子を身振り手振りでクルーに伝え、カウルを抑えてもらい、2人がかりでマシンを制しながらのバーンナウト、ギアを1速に蹴り込む体の動き……。一瞬でケリがつくレースに対し、集中力がキンキンに高まってるのが分かる。まるでスクランブル発進する戦闘機載りのような凄味が漂っているのだ。
今年とくにアツかったのが、ドラッグのためにフルチューンされたと思しき4台のヴィンテージ・ハーレー。何度もドラッグレースを拝んではきたけど、今年の彼らのパフォーマンスには、本当に奮い立つようなものを感じた。来年もぜひ雄姿を拝ませてほしい。
ここまではレポーター的な、ミクロ&マニアックな観戦術をお話したが、そうは言ってもドラッグレースの華と言えば、何千馬力もあるファニーカーやトップフューエルの走りっぷりだ。バーンナウトで「アスファルト溶けちゃってんじゃないの?」というくらいの白煙を噴き上げ、アイドリング時の不穏感も桁違い。もちろん轟音と共に吹っ飛んでいくスタートの迫力たるや、おもわず笑っちゃうくらいの凄味なのだ。
そんなわけでアメフェスのドラッグレース、それもファニーカーやトップフューエルの出走については、レポーターはなるたけサーキットに降りて観戦するようにしている。もちろん、報道関係者の特権をフルに使って、キモチ良くなってやろうという魂胆だ。
余談だが、この距離で長時間観戦する場合、耳栓は必須。耳栓なしで取材しているオトコなカメラマンもいるが、数日間は難聴で苦しむこと必至だろう。ちなみにトップフューエルが走る瞬間は、たとえ話ではなく、本当にサーキットのアスファルトが震えているのが分かります。足に伝わってくる。こんな経験をしてしまうから、また来年も「アメフェス行きたいな」と思ってしまうのである。
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