マスタングのチューナーとして名高いサリーン社(SALEEN)の創設者がスティーブサリーンである。彼は自叙伝の中で、自身の一番のお気に入りマシンが69年型マスタングBOSS302だと公言している。そして08年にサリーン社が始めた「ザ・ヘリテージ・シリーズ(Hシリーズ)」こそ、彼のお気に入りである69年型マスタングBOSS302をモチーフにしたチューニングカー造りとなるのである(当時のマスタングをベースに)。
このHシリーズには3つのモデルが存在し、搭載エンジンによってH281、H302、H302 SUPERCHARGEDと区分されている。それ以外では、ボディに69年型マスタングBOSS302のストライプを忠実に再現したサイドデカールが貼られ、エンジンフードとトランクリッドは、BOSS302同様にブラックアウトされる。
往年のBOSS302をベースとしながらもサリーン独自のアレンジを加えることで、現代的でありながらどこか懐かしい往年の名車の雰囲気を漂わせるレーシングライクなスタイリングを生み出しているのである。
またサスペンションには、サリーン製のレースクラフトサスペンションが装備され、18インチのビンテージデザインホイールや車高、空力にいたるトータルなセッティングが施されている。
一方インテリアは、ノーマルマスタングのインテリアを基調としながらも、ブラックをメインに硬派なイメージでコーディネートされ、センターストライプ入りのシートデザインが特徴的。機能でいえば、サリーン製のクイックレシオシフターが装着され、飛躍的なシフトフィール向上を果たしている。
取材車輌は2008年型のH281である。ということで4.6リッターV8SOHCベースに吸排気系チューン等が行われ330hpを発生させるエンジンが搭載されているのだが、実はこのクルマ、前オーナーがH281ベースにスーパーチャージャーを装着を装着することでかなりのパフォーマンスアップを果たしている。しかもそのSCは社外品ではなく、正真正銘のサリーン製スーパーチャージャーである。
ということで、サリーンのカタログには存在しないH281スーパーチャージドという仕様になるのである。
かなり前置きが長くなったが、このクルマ、めちゃめちゃ面白い。ノーマル状態からスーパーチャージャー装着で475hpにパワーアップしているのだが、それだけが面白い理由ではない。簡単に言うと、アクセルを踏んだ時の過給器の効き方がもの凄いのだ。ほんと、「ギュイ〜ン」と爆発的加速感。感覚的にはまるで強烈なターボ車? みたいな感じ。
過去に乗ったシェルビーGT500にパワー数値では全然叶わないけど、体感的な印象ではこちらの方が上。そこはメーカー純正のシェルビーと後付けチューニングのスーパーチャージャーとの違いかもしれないが。
シフトはかなりのクイックシフトになっており正確無比のシフト操作が可能であり(ノーマルマスタングのMTも悪くはないが、サリーン製シフトレバーが絶妙なサイズでgood!)、足回りやブレーキもパワーに全然負けていない。しかもサリーン製のシートがまた絶品でアメ車的な緩さが微塵もなく、まるで欧州車のごとき硬質なフィーリングが、ボディや足回りエンジンといった各部ともの凄くマッチしているのだ。
このクルマ、ワンオーナーで走行約2万3000キロ走行車で輌本体価格が398万円。しかも6ヶ月間走行距離無制限の安心保証付き。ウイングオートがASDN加盟店であり、かつてはサリーンの正規販売店をやっていたということで、サリーンのようなハイパフォーマンスカーの取り扱いに慣れてるというのも安心のポイントだろう。
現行マスタングを新車で買う場合、もちろん安心感や維持費を重視する人ならディーラーで新車という選択が無難に感じるかもしれないが、スーパーチャージャー+マニュアルトランスミッションの豪快な走りは一度体感すると病付きになる。しかもそのメカニカルなサウンドがたまらないほど絶品なのだ。コイツにいたってはその加速感も!
モデル自体は現行型の初期顔ベースということで、ちょっと古さを感じさせるかもしれないが、実際には古さどころか、逆にサリーンマジックによって新鮮味が増し、アフターパーツをポン付けした違和感が全くないのがさらにお勧めのポイントとなる。
発売当時はH281の新車が668万円。ちなみにH302 SUPERCHARGEDが1180万円だった。それが低走行車かつスーパーチャージャー付きで398万円ともなれば、まさしくお買い得だろう。
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