車両本体価格がすでに100万円にも満たないダッジデュランゴがたくさんある。すでに絶版して久しいが、個人的には「もうこんな金額で買えるのか」という感覚が強い。しかもここ最近のちょい古アメ車の人気高も伴って意外に問い合わせが多いというし。今や中古SUVの人気は、リンカーンナビゲーターと二分するのである。
レアモノとして高額プライスが付く前にどうです1台? というわけで、手に入れる前に知っておくべきデュランゴのモデル解説と基本構造を紹介。
ダッジはクライスラーの国内専用ブランドであったが、クライスラーは99年にダイムラーと合併してアメリカとドイツの混血メーカーとなった。デュランゴのデビューは97年であるが、その頃にはすでにメルセデスとの技術的な交流が進んでおり、デュランゴにはドイツのDNAが色濃く流れている。
それは構成パーツを見ても明らかで、ブレーキはボッシュ製、電装系やエアコンには日本製の部品が使われており、シボレー系車種とはクルマ自体の構成が異なっていることが分かる。
デュランゴは「ミディアムサイズのボディに、フルサイズの性能」という開発コンセプトのもと作られたクルマである。そのためエンジンはラムバンなどのフルサイズクラスと同じエンジンを共用している。
デビュー当初は5.9リッターと5.2リッターのV8エンジンがラインナップされ、00年型からは4.7リッターのV8が追加された(本国には3.9リッターのV6もある)。当然ながらミッションもフルサイズ用のものを共用する。
電装系はGM系に比べてかなり容量の大きなものが使われており、様々な環境に対応できるマルチパーパス車となることを目論んでいたものと考えられる。
足回りについても、あくまでリーフスプリングにこだわったのは、トーイングキャパシティ(牽引性能)を重視した結果と言えるだろう。
デュランゴのこうした開発コンセプト自体は素晴らしいものではあるのだが、ミディアムサイズのボディにフルサイズの性能を押し込めてしまったムリが、多少なりとも歪みとなって表れていることも事実である。
特にデビュー当初の98〜99年型に関してはオーバーヒートしやすい傾向にあり、熱対策などが重要となっている。しかし、それも00年型でシステム面での大きなマイナーチェンジが施されことでおおむね解消されていると言われているのだが。
先代型デュランゴは98〜03年型までの6年間生産されたモデルであるが、その間、システム面での変更が繰り返されているにもかかわらず、エクステリアのデザインについてはほとんど変更されなかった。
そのため、見た目から年式を判断するのは非常に難しい。逆にいうと、見た目の違いがないだけに、メカニズムさえ押さえておけば、どの年式を手に入れても満足度は変わらないとも言えるのだが。
さらに「RT」や「SLT」、「SLTプラス」などといったパッケージが混在しているため、オーナーですら自分の乗っているクルマについて知らないという人も多い。オーナーであれば、まずはその辺の確認からはじめてもらいたい。
<電装系・エアコン>
輸入車は全般的に電装系やエアコンが弱いというイメージがあるが、デュランゴの場合、メルセデスの血が入っているだけあって、オルタネーターなどの電装系は日本電装製のものが使われ、エアコンもサンデンのコンプレッサーを使用するなど、信頼性はかなり高い。
<ブレーキ>
デュランゴのブレーキはメルセデスにも採用されているBOSCH製のブレーキを装着している。BOSCHはドイツの自動車機器製造メーカーであり、この辺りにもダッジがただのアメ車ではないことが伺いしれる。なお最終の03年型では、アメリカの保安基準の変更にともなってリアブレーキがディスク化されている。
<ステアリング>
ステアリング装置については、00年型のマイナーチェンジでボール・ナット式からラック&ピニオン式に変更された。ラック&ピニオンは構造がシンプルでリンク機構も少ないためハンドルの切れが良く、路面の状況を把握しやすいのが特徴だ。つまり、スポーティなステアリング操作が可能になったと言えるだろう。
<OHCとOHVエンジン>
00年に登場した4.7リッターV8エンジンは新設計のOHCエンジンとなっているため、エンジン構造は大きく変わっている。点火系はディストリビューターとプラグコードがなくなってダイレクトイグニッション方式を採用する。ちなみに5.2/5.9リッターOHVエンジンは通常のマルチインジェクションのままである。
<足回り>
下回りをみると、このクラスにしてはかなり大きなリアデフが付いていることが分かる。デュランゴにはRAM1500と同じアクスルが使用されており、エンジンと同様に性能面でフルサイズクラスと遜色ないことが分かる。また、リアのリーフスプリングは03年型の最終まで一貫してリーフスプリングを貫き通している。
<4WDシステム>
デュランゴの4WD機構はパートタイム、フルタイムの設定が用意されているが、01年型からはAWDが基本設定となる「RT」が主流となったため、数としてはAWD車が最も多いと言えるだろう。なお、「SLTプラス」には01年型以降もパートタイム4WDが存在する。4WDの切り替え装置は、01年型からシフトノブ式からスイッチ式に変更になっている。
<冷却ファン>
98〜99年型のウイークポイントである熱対策は、00年型のマイナチェンジで冷却ファンが追加されるなどして対策が施された。そのため、写真を見比べてみても分かるように、00年型からは冷却ファンの形状もボックスタイプに変更されている。98〜99年型には別途熱対策が必要になる。
<フロントバンパー>
数少ないデュランゴのエクステリア上の変更点として、01年型からのフロントバンパー形状の変更が挙げられる。それまで2分割だったバンパーが1分割になり(エッジラインはダミー)、両サイドの下部に牽引ダクトが付けられた。性能的に意味のある変更ではないのだが、年式を見分ける際に多少便利なった。
<キー&リモコンキー>
キーについては、写真左の角形のリモコンキーが付いているものが99年型までで、01年型から写真右の曲線型のリモコンキーが使われている。また、キーの色がグレーのものはイモビ付きのため、スペアキーを作る場合は販売したディーラーに依頼しなければならない。そのため、中古並行車でスペアキーを作ろうとすると非常に手間がかかってしまうので、中古並行で購入した人はキーをなくさないように注意したい。
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