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初期型特有の水温上昇対策について

ダッジデュランゴ基本構造チェック vol.3 (DODGE DURANGO)

トラブル項目が比較的少ないクルマだが…

1998年、1999年のダッジデュランゴということになれば、アメ車としてすでに14、5年前のクルマであり、手に入れればまだまだ普通に乗れるクルマではあるが、注意すべきポイントがあるのも事実。ということで初期型特有の水温対策について検討する。

更新日:2013.05.14

文/石山英次 写真/石山英次

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

悪条件が重なると起こる初期型モデルの水温上昇

 前々回に「初期型のデュランゴは夏場に水温上昇しやすい傾向にある」ということを簡単に紹介したが、今回はそのことについて詳しく解説していく。

 初期型の98・99年型デュランゴの中でも、水温上昇が起こりやすいのは5.9リッターエンジン搭載車である。日本でもかなりの台数がこれに当たるはずだ。といっても普通の使用下において常に水温上昇するという意味ではないので注意して欲しい(悪条件が続くとそういった傾向に陥ることがあるという程度である)。

 だが、果たしてなぜそのような傾向にあるのか? それはフルサイズクラスのエンジンをミディアムボディに収めてしまったことによって生じた歪み、と表現するのが正しいかもしれない。
 特に初期型は、メーカー側でもその弊害が認識できずにトラブルが起こり(日本の真夏のド渋滞において)、00年型以降ではしっかりと対策が施されたので、余計にそう感じさせる。

 同じエンジンを搭載するラムバンで起こることはほとんどないし、5.9リッター以下の排気量エンジンでもその傾向はあまり見られない。
 
 ではどんな時に水温上昇が起こりやすいのか。最悪の条件は、真夏の暑い日に都市部での渋滞につかまった時だ。

 おそらく水温計のメーターは右寄りに上昇して、発進時にはエンジンルームからブオーという唸りが聞こえてくるだろう。その後はクルマを走らせてもパワーがなく、燃費も悪化してしまっている。

 ちなみに、チェックゲージ(前回参照)が点灯しているのにもかかわらずそのまま走行を続けてしまうと、エンジンから水蒸気を吹いてクルマが止まってしまう。ここまでいったらもう完全なオーバーヒートだ。
 デュランゴの5.2/5.9リッターはアルミヘッドではないので、ガスケットが抜けたりすることはまれだが、高温によるノッキングの衝撃でヘッドにクラックが入ったり、ピストン破損を起こす可能性が高い。

 水温が上昇した場合の対処法として最も有効的な方法は、エンジンを空吹かしさせて強制的にファンを回してやること(この年式は電動ファンではない)。そもそもアイドリング時のファンの回転が遅いのも原因のひとつになっているから、ほかにもいくつか対処法はあるが、緊急時ではこれが最も有効的な方法だろう。その他ではヒーターをオンにする。また一旦停車できるのであればコンデンサーのコア面に水をかけてあげるのも有効。

 こうした水温の上昇は、エアコンやバッテリーにも影響を与える。とくにバッテリーには必ず純正のカバーを付けておいた方がいいだろう。

デュランゴのラジエーターは確かに面積はあるのだが、手前のコンデンサー面が縦長の形状をしていて、しかもバンパーやグリルとの距離が近いため、空気の流れが阻害されている。

実際には、一番手前にエアコンのコンデンサーがあり、ラジエーターはその後ろの室内側にある。しかもコンデンサーとラジエーターとの間にはミッションのオイルクーラーがあるため、ラジエーター面がふさがれていて、全面を活かしきれているとは言えない。

ファンの真後ろにすぐエンジンがきてしまっているため、空気は横にそれていってしまう。しかも逃げ道が少ないため熱がこもりやすい。ただ、たとえ水温上昇を起こしたとしても、対処方法さえしっかりと把握していれば恐れることは何もない。要は自分のクルマにそのような傾向があるのだということを理解して、日頃から水温計の動きに注目しておくことが大切である。

左が2000年からの冷却ファンで右が98-99の冷却ファン。2000年からは電動ファンになっており、形状の違いも一目瞭然である。

日常的な水回りの管理が大切

 98・99年型のデュランゴで水温上昇が起こるいくつかの原因としては、まず電動(強制)ファンではないこと。
 そして、ミディアムボディの狭いエンジンルームにフルサイズクラスのエンジンが積め込まれているため、空気の逃げ道が少ないこと等があげられる。ほかにも、ラジエーターの形状や配置上の問題から、冷却機能が完全に活かしきれているとは言い難い。

 走行さえしていれば水温上昇が起こるようなことはないのだが、夏場の渋滞などにつかまると水温計は上昇気味になってしまう。そうなると発進時にエンジン音(実際はファンの音)が唸りをあげてうるさいし、ファンにエンジンの力がとられてしまうため、パワーもガクッと落ちてしまうのである。

 オーバーヒート予防対策として最も重要なことは、普段から水回りの管理をしっかりとしておくことである。98・99年型デュランゴのオーナーであれば、冷却機関に関わるメンテナンスにはとくに気を配っておいてもらいたい(下記ポイント参照)。

 通常でも水温が上昇しやすいクルマなのに、日頃のメンテナンスまで怠ってしまったらクルマは最悪の状態である。

 中古並行で購入したのであれば、冷却系の総点検をプロショップに依頼し、バイパスホースの水漏れポイントなどまでしっかり点検してもらうと良いかもしれない。また日常点検では、主にクーラントの量と汚れを確認しておきたい。それだけでもぜんぜん違うはずである。

 また下記ポイント以外に、より積極的なオーバーヒート対策として、構造自体を変更してしまう方法もある。例えば電動ファン化だ。ただし、01年型以降の電動ファンを移植するにはコアサポート等の変更が色々と必要でかなり難しい。

 社外の電動ファンを追加するという方法もあるが、それでも費用はそれなりにかかってしまう。
 もうひとつはエア・アウトレットを作る方法だ。これは例えばウエザーストリップを外したり、エアダクトを開けたりして熱の逃げ道を作ってあげる方法で、多少ではあるが効果を上げることができる。

 左右のコーナーにあるウエザーストリップを取り外すことでエンジンルーム内にこもった熱の逃げ道を作ることができる。ただし、運転席側の下にはヒューズボックスがあって、むやみに取り外すと雨水でショートする危険もあるため、助手席側だけにしておいた方が無難ではあるが。

渋滞時に水温計が上昇してきたら、シフトをニュートラルに入れ、2000〜2500回転くらいの一定回転で空吹かしすると、ファンが回りだして冷却される。

クルマのヒーターはエンジン熱を利用しているため、ヒーターを全開にすれば室内に熱を逃がすことができる。しかし、よっぽどでない限り夏場はあまりやりたくない方法だ。

停車できるのであれば、コンデンサーのコア面に水をかけるだけでもオーバーヒート対策としてはかなり有効的だ。夏場はペットボトルの水を常備しておきたい。

<デュランゴ水回り対策>
下記に掲載している方法は、事前の予防対策である

クーラントは通常のLLCでもいいが、レース用として使用されているような熱交換のいいものを選択するとそれだけでも効果があると言われている。

ラジエーターキャップはラジエーター内部の圧力をコントロールする役割を果たしている部品。クーラント交換の際はこれもチェックし必要があれば交換する。

ローテンプサーモスタットを使用すれば、低い温度のうちから冷却を始めることができ、ファンの音を極力抑えることができる。

コア面に虫やゴミが付着したり、塗装が浮いて目詰まりを起こすことが考えられるので、普段から清掃しておくことも対策のひとつである。

ファンカップリングはファンのクラッチにあたり、これが滑りっぱなしだとファンの速度は上がらない。ガタやオイル漏れがないか点検する。

熱対策の一例として左右のコーナーにあるウエザーストリップを取り外すことで、エンジンルーム内にこもった熱の逃げ道を作ることができる。

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