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[連載]

オリジナルを重視しつつ現代的なリファイン

74年型 プリムス バラクーダ

'74 Plymouth Barracuda

現代的な街乗り仕様としてリファインを受けながらも乗ってみると間違いなく旧車。決してスワップして出した味ではない、オリジナル感がこのバラクーダの持ち味だ。

更新日:2010.11.18

文/編集部 写真/写真提供/レーストラック

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 03-5661-3836  [ホームページ]
     ファイティングラム TEL 03-5661-3836  [ホームページ]

すべてのフィーリングが一体となっている

 イグニッションをひねり、即座に反応するエンジン。始動直後からタダモノではない雰囲気を漂わせる340ユニット。現代的な街乗り仕様に改良されているとはいえ、ベースはオリジナルのまま。
 
 現行ユニット等にスワップするという選択肢もあったが、ここはオリジナルの個性を大切にすることにした。このクルマを手がけたレーストラックの技術力を証明するためにも、あえてオリジナルユニットをリファインするという手法をとったのだ。

 とはいえ、340エンジン=5.2リッターエンジン。約240hpというパワー数値ではあるけれど、このオリジナルユニットの強靭さはハンパではない。

 このプリマスバラクーダは、74年型だ。だからといってレストアしてガレージに置いておくためにリファインするわけではない。街乗り仕様として毎日の足として活躍するために手が加えられるのだ。

 だからこそ、中途半端なスワップなどせず、手を加え、完成度を高める必要があるのである。

 基本的なエンジンの仕様は、オリジナル重視。その他に冷却系を抑え、電動ファン、配線の組み直しなど細かいポイントを一つひとつ潰していくことで、本来のパワー&フィーリングに現代的な熱対策などを加えていく。

 そしてマッスル的なフィーリングが蘇ったことにプラスして、アクセルペダルなどの調整を行い(ペダルフィーリングを重くした)、現代的な街乗り仕様のエンジンを完成させていった。

ウッドを基調としたインテリアに即応させるために、ステアリングをリファインし、シートやドアパネルはボディカラーに合わせてグリーンをベースにした異素材でデザインされている。

シートはレザーとアルカンタラを組み合わせたツートーンが洗練された現代的な味わいをもたらす。だが、全体の雰囲気はオリジナルを醸し出しているから不思議である。

WORKのEquip20インチにニットー製invoを組み合わせたタイヤ&ホイール。このチョイスにより、エクステリアに現代的味付けが追加された。

チューナーの具現化が素晴らしい

 一方で足回りは、カヤバやモンローといった名だたるパーツを駆使し、それこそオリジナルのワンオフ・フィーリングを完成させている。

 そしてフロントブレーキにウイルウッド、リアはドラムブレーキだったものを、ベアーを使用しディスク化することで、ブレーキ関係のリファインを果たしのである。

 この足回りに合わされるホイールは、ワークのイクイップ20インチ。これによってエクステリアの雰囲気が俄然現代的になったのは言うまでもない。

 非常にきれいなグリーンのボディは、純正色よりもトーンの高いカラーによってペイントしなおされている。純正色という選択肢もあったが、このホイール等とのマッチングを考慮し、そして時代を踏まえたチョイスとしてあえて明るいグリーンを選択した。

 それによってオリジナルのふくよかなボディラインは、一層引き立たされ、「マッスル」の代名詞であるセクシーさが見事倍増されたのだ。

 試乗して思ったが、このフィーリングと乗り味を蘇らせる技術者の思想が素晴らしいと思った。あえて、すべてをオリジナルで固めることなく、また、すべてを現代的にリファインすることなく、その中庸を見事に具現化したチューナーの表現法というか、技術力というか。単なるポン付けでは決して味わえない、それぞれのパーツがきちんと仕事をして、そして一つになっている。

 だから乗ると、「あ〜これがマッスルなんだ!」と往年の味わいに触れることができるし、見事現代的な交通事情の中、のんびり渋滞路を走ることも可能なのである。

現代的な街乗り仕様として完成させるために、足回りでまず第一に考えたのがブレーキだった。旧車のままのブレーキでは、現代の交通事情にはまったく通じない。だからといってブレーキだけ大きいものを付ければよいというものではない。

逆算的な発想から、サスペンションの組み合わせへと導き、最終段階で、「この足回りなら20インチをこなせる」という見解になったという。単なるポン付けや儲け主義者からは産まれない、まさに技術的な発想である。

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