本多さんは、後発モデルが出ようとも第二世代のGTSにゾッコンである。
「まずはスーパーカーフォルムが好きです。そして、いま見れば完成度の低さは否めませんが、逆にそれが面白い。ラフな操作を許さず、ドライバーのミスがそのままクルマの挙動に跳ね返る。でも、それを克服しようとする、クルマをねじふせる醍醐味が好きなんです」
ちなみに、本多さんはもともと学生時代に国産四駆をリフトアップして乗っていたような青年だった。たとえばハチロクやシルビアで日夜峠を攻めていた走り屋だったわけでは微塵もない。
そして初めてのサーキットデビューがブルー&ホワイトのバイパーGTSだった!
「スピンしまくりで、富士スピードウエイでは全コーナーでスピンした経験が自慢です(笑)」
1stジェネレーション
(1991~1995)
斬新なコンセプトカーがそのままのカタチで登場したような初代RT/10。当初8リッターV10エンジンは400hpを発生。タルガボディのスーパースポーツカーには、かのキャロルシェルビー氏もアドバイザーとして加わっていた。車重1500kg弱に400hpのパワーは往年のシェルビーコブラを連想させる。初代モデルのトータル生産台数は6709台。
筆者もRT/10の実車の取材を二度ほどしたことがあるが、このサイドマフラーによる乗降時の火傷が思い出のひとつ。それでもカッコイイから許せてしまう。タルガボディは好みだが、ABCペダルのオフセットが気になってイマイチ運転に集中できなかったことも改めて思い出す。
コンセプトカーは427コブラのようにフルオープンボディだった。実際はタルガボディだったが、恐らく車体剛性の問題を克服するためだろうと思われる。
そのくらいの腕前から、いまやちょっとしたミニレースでは優勝してしまうほどの腕前に。そのドライバー経験を支えたのが、じつはバイパーだったのである。
そして今現在、コレクションズは日本でナンバーワンのバイパー販売歴を誇るショップとなっているが、そこにはVCA(Viper Club of America)、 現VOA(VIPER OWNERS ASSOCIATION)JAPAN REGIONの存在も欠かせないという。
上記の本多さんのバイパー経験は、あくまで個人的なもの。じつはショップとしてのバイパーの販売にほそれほど真剣ではなかったという。それよりも、自らの愛車としての存在の方が大きく、コレクションズはコレクションズとして良質なアメ車を販売し、自らは個人でバイパーを楽しんでいた。
2ndジェネレーション
(1996~2002)
タルガボディのみで始まったバイパーヒストリーは、第二世代になりクーペモデルのGTSがデビュー。同時にレースシーンへの参戦も行われ、耐久王のポルシェを撃破する大活躍を見せる。搭載エンジンは変わらずも450hpにパワーアップ。ボディ剛性向上、サスペンション、ブレーキ等の大幅な見直しが行われる。RT/10も引き続き生産される。
今まで一番目にしているバイパーであり、実際に取材した数でも一番。つい最近、我が後輩もこの世代のバイパーを入手していることもあり、身近な存在。意外にも日常的に使えているという報告もあり、改めてバイパーの実力を知る。
この年代からレースに参戦しているバイパー。一番の思い出はルマン24時間レースでポルシェの牙城を崩しクラス優勝したこと。
そんななか、オーナーズクラブの存在を知り、クラブの集まりに個人的に参加することになった。そこでいろいろなバイパーオーナーさんと知り合い、本多さんの持つ知識と人柄、そしてバイパーへの情熱を知ったユーザーさんたちが、バイパーの乗り換え等でコレクションズを使用するようになり、この10年くらいの間に一気にバイパー色が花開いたということである。
コレクションズに今現在あるバイパーは6台。このうち、二台はすでに売却決定で納車待ち状態。そして赤い一台が委託販売ということだから、3台が売り物であるというが、近いうちにまた一台下取りで入庫するというから、常に4、5台くらいの在庫車があるというから凄い。まさに日本一のバイパーショップなのである。
そんなコレクションズの本多さんにバイパー購入に関する話を聞いてみた。
3rdジェネレーション
(2003~2007)
フルモデルチェンジが行われ、第三世代は原点回帰のフルオープンボディ・SRT10ロードスターのみで登場。エンジンは8.3リッターV10となり500hpを発生させる。そして3年後の2006年にSRT10クーペがデビュー。同時にエンジンチューニングに変更が加えられ510hpにパワーアップ。この頃からはダイムラークライスラーの完成度。
「まずは、第五世代まであるという認識をもって、自分の予算と好みで、どの世代にアタックするかを考えるべきですね。
その中でも第一世代のR/Tは、今入手するには非常に厳しいモデルかもしれません。いわゆる快適性が微塵もない存在ですし、ちょっとずつこの年代のパーツがディスコンになってますので、とくに初めてのバイパーとしてならば、第二世代モデルを推しますね」
本多さんが自ら体験している第二世代は、価格的にも入手しやすい状況である。350万円から500万円という相場感を聞けば、たとえばコルベットC6の高年式の中古車を入手しようとした場合の価格帯ともダブる。
とはいえ、バイパーはコルベットほどのタマ数はない。だから、一期一会的なチャンスを見逃さないのが鉄則である。
4thジェネレーション
(2008~2010)
一時の経営危機を乗り越え登場したマイナーチェンジモデル。マクラーレンの技術協力を得て、革新的なハイスペックマシンに進化。搭載エンジンは8.4リッターV10となり600hpを発生させる。クーペにはオプション設定でACRが設定され、サーキットタイムを大幅に短縮させる。ロードスターは2009年、クーペは2010年で生産終了。歴史に終止符。
われわれ編集部が実際に試乗し取材した限りにおいては、この第四世代のACRが最高にファンな1台だった。バイパーならではの荒々しさがなんとも魅力的で見ているだけでも飽きない存在だった。
「バイパーの性能を考えた場合、やはり最新の最高モデル、第五世代のACRがベストというのは変わりません。これはみなさんに言っています。
ただ、それだと1800万円程度は必要になりますから、現実的に考えれば第四世代の1000万円程度、第三世代の400~600万円という存在が見えてくると思います。
でも、第三世代は正直、大人しくて面白みにかける。第四世代は、価格的に見てライバルが多い。だからオーナーの感じ方が様々。気に入ればいいが、ポルシェと比較して『安っぽい』との感想で売っちゃったり中古車のフェラーリに流れたりと、お金持ちの余裕アリアリな車選びがバイパーの価値を鈍らせるんですね。
だから第二世代なんです。この年代を欲する方は、『バイパー一本』の方が多いですしね」
五世代あるすべての年代のバイパーを扱ってきたコレクションズ。次回は、そんなバイパーをバイパーらしく走らせるために必要なことを聞いてみる。
5thジェネレーション
(2013~2017)
2010年に消滅したバイパーが2年後に復活。クーペのみのボディでフルモデルチェンジしたバイパーには、8.4リッターV10で640hpを発生させるエンジンが搭載。乗り味含め、劇的に洗練度を増す。またデビュー直後から多くのバリエーションモデルが登場し、第四世代にあったACRももちろんデビュー。だが4年後の2017年に生産終了が決定。
2016年に2017年での生産終了が発表され、その時点で5種類の限定特別仕様車の発表が行われている。そのモデルたちの納車終了時にて生産終了。今現在ですでに終了のアナウンスがなされてしまった。
最新が最良というバイパーの、さらに最終モデル。エンジンの大幅な変更がなかっただけに、人気を得ることができなかったとも言われているが、ラップタイムを含めた性能は世界最高レベルを記録している。
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